最新 追記

Matzにっき


2005年11月14日 [長年日記]

_ [原稿] オープンソースマガジン 1月号

月例のハッカーズライフ。今月は「ソースコードを読む」話。

まあ、2ページしかないんであまり突っ込んだ話は書けないが、 どう読むか、とか、どういうツールを使うかとか。

でも、普段、私がソースコードを読むときには近代的なツールは使わないで grepに頼りきってるんだよなあ。ctagsすら使わないのはいかがなものか、という気もしないでもない。

Rubyではデバッガも使わないし、IDEも使えないし。 完全にオールドタイプだな。

_ [OSS] Sleepycat -- 健全な収益構造を持つオープンソース企業の見事な例

まあ、ちゃんとつぶれないで事業を継続している点は尊敬に値する。

でも、MySQL AB (MySQL)もTrolltec (Qt) もSleepycat (BDBM) も、自らのビジネスモデルのために外部からのコードは基本的に受け取らない(か、著作権上と譲渡契約を行う)必要があるんだよね。それはバザールモデルを強調するオープンソースの立場からは、「見事な例」とはちょっと違うような気がする。

ま、ソースコードが自由なライセンスで提供されているという、私が一番欲しい自由が提供されている以上、文句を言うつもりはないけれども。

_ [Ruby] Ethical Software by Alex Bunardzic » Superior or Just Easier?

「優れている」とはタフな問題を解決することだ、と考えがちだが、 もっと「簡単な」道があるかもしれない。

What really caught my attention in that comment is the underlying assumption that something could either be superior, or easy. This belies the heroic mentality of the tough, battle hardened modern man, who is used to struggling in life, knowing that it don’t come easy.

Along come these wacky dudes, like for example Matz and the aforementioned David, and gently tap these people on the shoulder, and try to make them see that, hey, you don’t have to always suffer for your work. Maybe there is a way to make it easer?

肩の力を抜いて生きよう。


2005年11月13日 [長年日記]

_ [教会] 監督不在

司会。あまりうわずらなくなってきた。

副監督の一人は岡山、監督も聖餐会終了後は監督訓練集会で岡山。 取り残された私は少々不安だったが、とくになにごともなく終了。

集会終了後、面接。いろいろと懸念事項を聞く。 教会といえどもいろんな人の集まりなので、 心配事やら、問題やらいろいろあるものだ。

依頼されたことは手配しておく。


2005年11月12日 [長年日記]

_ [原稿] 完成、あとひとつ

日経バイトはついに完成。なんか気が緩む。でも、もうひとつ(オープンソースマガジン)残っているのだ。

_ [Ruby] うさんくさい「Joy」

新山さんのメモから。

どうでもいいけど、Ruby 自身にしろ RoR にしろ、彼らはやたらと "joy" だの "使って楽しい" だのを強調するが、これ自体がそもそも非常にうさん臭い言葉だよな。プログラミングが楽しいのはある意味当然であって、必要以上に楽しすぎる場合はどこかでツケを払う必要が出てくる (そのツケを払うのが自分とは限らない) ということに彼らは気づいているのだろうか。

"joy" だの "使って楽しい" だのを強調することがうさんくさい点には同意します。 なんてったって、人はそれぞれ違うんで、全員が同じことをjoyと感じるわけはないので、 客観的に優れていることを示すことは不可能ですし。 Python使ってる方がRuby使うよりはるかに楽しい人を見付けるのは簡単でしょう。

にも関わらず、我々が「楽しい」を連発するのは、

  • プログラマのあるサブセットは共通の嗜好を持ち
  • その集合が「楽しい」と感じるある言語の性質がある
  • が、我々は語彙が足りなく、客観的にそれを表現できない

ということなんでしょうね、きっと。

で、いきおいイメージ先行のマーケティング的に使われることが多いので、 どうしても「うさんくさく」なるんでしょう。これは自覚してます。

が、「必要以上に楽しすぎる場合はどこかでツケを払う必要が出てくる」ということには、 正直、気づいてないです、すいません。

いや、私自身は毎日のようにツケを払ってますよ。極端に動的な言語は最適化が行いにくいんで、 処理系が遅いのをなんとかするのが大変とか、 「書いてて自然」とか自明でない設計ポリシーのため、言語設計上の判断が非常に難しいとか。

でも、「そのツケを払うのが自分とは限らない」ってのは、どういうシチュエーションなのか想像つかないっす。想像力足りないかな。


2005年11月11日 ポッキー&プリッツの日 [長年日記]

_ 東京出張

東京へ。

イベントで呼ばれるのはしょっちゅうだが、 会社の出張は実はひさしぶりな気がする。

移動しながらも原稿は書く。なんとか今日中に終わらせたい。

打ち合わせ。今は内容が公開できないが、 現実化すれば結構社会的インパクトがあるのではないだろうか、というような話。

なかなかうまく進んだように思えるのだが、 しかし、どうもこのまま毎週東京にくることになりそうな気配が。

うう。

空港でおみやげ。家人のリクエストにより沖縄の黒糖プレッツェル。 「今日はポッキー&プリッツの日なのでなにか珍しいものを」とのことであった。 グリコ製品じゃないけどいいのかな。

_ Rubyでアジャイルプロトタイピング(1)

Rubyでプロトタイプを作り、仕様がはっきりしたらそれは捨てて、 (Javaなどで)正式版を作るという話。

なにも捨てんでも、と思うのだが。 プロトタイプを高速に作ったら、なにかの事情でRubyでは全然ダメだというのでなければ、 そのままRubyで突き進めば良いのにね。

お仕事環境では「やっぱりJavaでないと」というよく分からない圧力があるようだ。

してみると、RubyConfで8割くらいが「Rubyで仕事してる」と挙手した、 アメリカの状況は日本よりも進んで(?)いる。すくなくとも連中には、 社会として変化を受け入れる勇気があるような気がする。

いや、それが良いことがどうかは分からないけど。

_ 『4839919232』

Soopyの作者randyさんによる書籍。 Soopyと違ってサンプル言語(JoyToy)は普通。 いずれにせよ、これで「言語を作ってみよう」って人が増えると良いなあ。

浜松町の書店で見掛けて、買おうかとも思ったが、荷物になるし、 処理系はJavaで書いてあるし、まったく知らないことは書いてなさそうなので、 今日はやめた。

ところで、

とある言語の作者によれば「名前重要!」です

という形で私の言葉が引用されていた。いや、引用じゃなくて「ほのめかし」かな。 あれじゃ知らない人は分かんないじゃん(苦笑)。


2005年11月10日 [長年日記]

_ [原稿] 日経バイト

一日書いても書き終わらない。私が語る動的言語って、ネタとしては面白いと思うのだが、 分量がねえ。そんなこんなで全然ハックしてないぞ。禁断症状が...。

_ わんこ原稿

夕食どきに、原稿の〆切が立て続けで、という話をしてたら 次女が「わんこ原稿だね」と言う。

一瞬、意味が分からず「わんこ?」という顔してたら、 「ほら、わんこ蕎麦みたいにどんどんくるんでしょ」だってさ。

確かに。ほいほい引き受けるからこういうことになるんで、 「もうお腹いっぱいです」と椀の蓋を閉めれば良いのか。

いや、暇な時は結構暇なんだから(今月はなさそうだけど)、 問題は引き受けちゃうことよりも、計画的に書けないことだろうなあ。

_ 高感度デジカメの時代がやってくるか - FinePix F10 & Z1

少々古い記事だが、我が意を得たり、という感じ。

xDカードで300円増しくらいでUSBアダプタが付いているものも売っているし、 もうF10でいいかなって気にもなっている。 やっぱり暗いところでもはっきり取れるのは魅力的だし、 他の機種に比べてノイズも少なそう。

問題は既に三台もデジカメ並べているのに、もう一台買うことに家人が納得するかどうかだ。

_ Star Wreck: In the Pirkinning

慣れないBitTorrentでダウンロード。結構速いなあ。

素人がこれだけの映像を作ってしまうという事実にまず驚愕。 原稿の〆切日だというのにこんなのを見ている自分にさらに驚愕。

映像はともかく、お話は素人レベルであった。でも、それはそれ、なのかもしれない。


2005年11月09日 [長年日記]

_ [原稿] 日経バイト+るびま

日経バイト最終号の原稿を依頼されている。 〆切は明日だ。

「技術の真髄」シリーズの最後を飾ることになる。 そういえばリニューアル後に始まったこのシリーズの最初も私だったな。 私で良いのか。ま、編集が良いというんだから良いんだろうな。

で、なにについて語るのかだいぶ悩んだのだが、 ふたつ考えた「DRY原則とプログラミングの進化」と「動的言語礼賛論」のうち、 後者にすることにした。やっぱ私に期待されているのは言語の話だろう。

何といっても(自称)日本を代表する言語おたくだからな。

しかし、そう決めたもののなかなか筆が進まない。 現実逃避にお金にならない「るびま」の、 言語探訪の原稿を書き上げでしまった。今回は「Tcl」。 前回のIoに引き続きシンプル指向の言語を選んでしまった。


2005年11月08日 [長年日記]

_ [原稿] 日経Linux

本当は〆切から一日遅れているが、なんとか仕上げて提出する。

思ったより面白い話になった(自画自賛)。

_ 俺ってばスゲー。

こうやって仕事が滞っているときには、 自分のことを褒めることで自らを鼓舞するのはどうだろうか。

俺ってば、

  • 日本でも数少ない(広まった)言語デザイナーだし、
  • もちろんプログラムは書けるし、
  • 文章も書けるし、
  • プレゼンもできるし、
  • 英語も人並以上にできるし、
  • ...

でも、いろいろできるわりには、あんまり「成功」してないよな。 器用貧乏っていうかなんていうか。

いかん、よけい落ち込んできたぞ。


2005年11月07日 [長年日記]

_ [原稿] 日経Linux 12月号

先月に引き続き、デザインパターンについて。

前回(今月8日売り)は「デザインパターンとはなにか」というような話を紹介したのだが、 今月は「動的言語とデザインパターン」というような視点で紹介した。

もともと『デザインパターン』本でもSmalltalkの例題があったりして、 動的言語を意識していないわけではないのだが(パターンコミュニティはSmalltalkerが多いし)、 しかし、あの本を読む人の大半は(私も含めて)、「C++の本」としてとらえてると思う。

で、動的言語ならこのパターンはこういう風に使えるというような話。 紹介するパターンはPrototype, Template Method, Observerのみっつ。

で、本当は今日が〆切だったんだがどうも間に合いそうにない。 編集の人にメールして一日だけ延ばしてもらう。

実は、まだまだ原稿が目白押しなんだが。 OSMのも少し延ばしてもらう。こちらはちょっと日程に余裕がありそうなので助かる。


2005年11月06日 [長年日記]

_ [教会] 松江

両親が任期を終えて帰ってきたので、 米子に出席しようかと思ったが、 セミナリーも終了したし、 今回は松江に出ることにした。


2005年11月05日 [長年日記]

_ 町文化祭

今年から合併になって全体で松江市となったのだが、 町文化祭は例年どおり行われるのだそうだ。ふうむ。

長女はこちらでも吹奏楽の発表。 あとは幼稚園・保育園から中学生に至るまでさまざまな年代の子供たちと 大人たちの 美術作品(書道、絵画、陶芸、工作などなど)の展示。

なかなかの力作もあった。町内に窯がいくつもあるせいか陶芸作品にはプロ並のものが多かった。

子供たちやその友達の作品も展示されているのだが、 絵にも性格が現れるのが面白かった。 一生懸命きちょうめんな絵を描く子とか、なげやりでやる気のない絵を描く子とか。


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