先日も書いた通り、 現行制度下で現実的な対策が思いついたような気がしているんですが、 素人の思い込みでしかない可能性は否定できません。 というか、そういう可能性のほうがはるかに高いでしょう。
そこでいくつの点を調べたいんですが、よければ知恵を貸してくださる方はいませんか? いなければ自分でぼつぼつ調べるんですが。
例題としてMicrosoft対Eolasの「プラグイン特許」をイメージしています。
Microsoftは自社製のソフトウェアであるIEがEolasの特許を侵害しているとして訴えられました。 当然MicrosoftはEolasの特許の無効を訴えたと思いますが、 現時点でIEに特許回避の改変を行う方針を打ち出しているところからすると 無効審査は失敗したのではないかと想像します(ここまでの前提が違っていたら指摘してください)。
IEの例を持ち出したことからも分かる通り、オープンソースかどうか、 配布が無料かどうかは問題にしていません。 また、前提として著作権侵害は無く、特許だけが問題であるケースを考えています。
本当は、特許侵害は故意でなく独立に考えた、という条件を加えようと思ってたのですが、 独立の発明であることを証明することは困難ですし、どうやら特許制度というのは そういうことをそもそも問題にしてないみたいなので含めません。
あるソフトウェアが特許を侵害していると訴えられ、かつ、 その特許の無効を証明できなかった場合、 その訴えに応じてそのソフトウェアの配布をただちに停止した場合、 損害賠償を回避できる(可能性がある)か。
今回の例に適用すると、IEの改変で特許回避が認められた場合、 Microsoftは賠償金を払わないのか、ということ。
その「あるソフトウェア特許」がある国の国内特許であった場合、 その国以外で改変前のソフトウェアを配布(販売)することに問題が発生するか。 開発者、配布者がその国と無関係であった場合にはどうか。
今回の例に適用すると、Microsoftがアメリカ国内バージョンとしては 改変を行ったもの、国外バージョンでは改変しないものを配布した場合、 アメリカ特許を侵害したことになるのかどうか、ということ。 あるいは訴えられたのがアメリカ企業であるMicrosoftではなく、 たとえば日本企業だったらどうか。
もっとも、アメリカって国とその裁判制度は、 弁護士と陪審員によってどうにでもなりそうな印象があるので、 一般論としては言えないのかもしれないけど。
Officeさんから 前向きな評価をいただいたと思ったら、 メールで「東京に行く用事があるので実際に会いませんか」とお誘いを受けた。 光栄である。
あいにくこの日私は東京にいないので、都合がつかなかったのだが、 非常に残念だ。立場はかなり違うような気がするが、有意義な時間になりそうだったのに *1。
普段、島根にいて不自由を感じることはあまり無いのだが、実際に人に会うということになると、 とたんに面倒になるよなあ。
*1 私の知識が足りなくて、私には有意義でも、先方には迷惑なだけという可能性はあるな
いや、もう、どうでもいいんだけどね。
しかし、興味があるのは彼らの頭の中身である。
彼らのやろうとしていることはこうだ。
彼らはそれによって何が起きると考えているのだろう。 どういう未来を思い描いているのだろう。 ちょっと想像してみる。
いやあ、薔薇色の未来ですなあ。 「大切な日本の音楽の著作権をしっかりと守っていくことに尽力したい」あるいは 「大切な日本の音楽の利権をしっかりと守っていくことに尽力したい」と強調されるのも分かる気がする。
しかし、この未来図にはいくつか見落としがあるような気がする。 たとえば、以下のような点である。
破られないDRMはない。
先日も書いたが、完璧なDRMは原理的に不可能だ。 人間の頭脳の中に(リバースエンジニアリング不可の状態で)DRM機能を埋め込まない限り。 彼らなら夢想しかねんが。勘弁してくれ。
音楽などは必需品ではない
消費者の可処分所得は有限だ。 デジタルオーディオの使い勝手が悪くなれば、 わざわざそこにお金を落とさないだろう。 客離れが起きることを予想できないのだろうか。
消費者の所有欲、所有意識は根深い
少なくとも私はそうだ。自分が買ったCDの音楽は他の人の迷惑にならない範囲内で、 「自分のもの」と考えるし、自分の好きなようにしたい。 違う分野ではあるが、所有意識の強さを示すこういう話がある。
ソフトウェア購入者の64%は、サブスクリプション形式よりもライセンス購入形式のほうが好ましいと考えていることが、同調査で分かった。
やっぱ、みんな所有したいんだ。
これらを考えに入れると別の未来図が浮かび上がってくる
JASRACは自分で自分の首を絞めているように思えるのだが、 それは私の考え過ぎなんだろうか。
それとも彼らは旧約聖書のヒゼキヤ王のようなのだろうか。 国の滅亡を預言された王の言葉はこうである
船村会長が生きている間は、JASRACに太平と安全が続く、だろうか。 だいぶ怪しいかも。
B0002UA3MS いや、23号だったか。しかし、今年の台風と言えば
という印象だ。今までの1年の上陸数の最大は6個。今年はすでに10個上陸したそうだから、 大記録更新だな。でも、来年あたりあっさり更新されたりして。
アメリカでも「アイヴァン(Ivan)」やら「ジーン(Jean)」*1やら巨大ハリケーンが頻発しているし、 これはもしかして、 先日見た『B0002UA3MS』が現実のものとなっているのか。 この映画は、ところどころブラックなテーストがちりばめられたなかなかに「良い映画」であった。 「犬と子供は生き残る」というお約束もバッチリ。
(若干のネタばれがあります)
ただ、父ちゃんがニューヨークまで頑張って迎えに行った直後に、 軍用ヘリコプターが救出に来ちゃうと、「じゃあ、なんのために徒歩でNYに行く必要があったの、待ってればよかったじゃん」とか思っちゃって興醒めだった。あれがなければもうちょっと評価高かったんだけどなあ。 でも、あれがないと今度は「ヒューマンドラマ成分」が薄くなりすぎるかも。難しいものだ。
*1 アメリカのハリケーンは出現順にABC順の名前が付く。昔はすべて女性名だったが、最近は男女交互になった
PayPalからHTMLメールが届いていて、 うっとうしいので今後テキストメールに変更しようと操作したら、 まんまとフィッシングに引っかかってしまった。
慌ててパスワードを変更して亊無きを得たが、 危なかった。慌ててる私を見て妻が「専門家でも引っかかるのね」。
いえ、セキュリティの専門家ではありませんから。
しかし、今思い返せば気がついてしかるべき「変な点」はたくさんあったのに、 ことごとく見逃していた。うっかりもたいがいにしたもんだ。
恥ずかしい。
実際に書いているのがずいぶん遅くなった*1せいもあって、 時期を外してしまったし、 関心のある人は他の参加者のレポートで読んでしまっているだろうから、 簡単に。
Rich KilmerとChad Fowlerからご挨拶。
高橋会長による「Rubyの歴史」。
ネーティブスレッド対応をはじめ、 互換性をあまり気にしない改造RubyインタプリタSydneyを開発していたEvan(結婚で名字が変わったそうだ。Phoenixとはかっこいい)によるSydneyの総括と、新たなチャレンジであるRubiniusの紹介。
日々、「老人力」の強化が進んでいる身としては、 このパワーはうらやましい。
ただ、Ruby(インタプリタの実装)には、 「始めるのは簡単だが完成度を高めるほど継続するのは至難の業」という傾向があるので(言語仕様の完全実装が難しすぎ。ちゃんとした仕様がないことを除いても)、 今後もこの開発が継続するか、どこまで完成度が高められるかに注目したい。
RubiniusやCardinal(Ruby on Parrot)やJRuby(Ruby on JVM)、RubyCLR(Ruby on .NET)が 頑張ってくれるのはうれしいし、 速度や安定性でこれらのうちのどれかが勝つようなことがあれば、 そちらが主要な実装となるのもやぶさかではない。 私のがリファレンスインプリメンテーションとして残るなら。
という風にあまり実装にプライドを持たないでいられるのは、 要は「自分が言語設計者だ」という自己認識を持っているからなんだろうな。 本音を言えば、ちょっと悔しいのだけど、言語実装者としてあまり優秀でないのは 日々実感しているから、今さら大騒ぎするほどではない。
集中力が切れて話を聞いてなかった。ごめん。
Rubyのビルドに使われてるmkmfは複雑杉。 mkrfでRakefileを作ってrake動かすのがいいんじゃない? という話。
まあ、mkmfが過去のいろんなしがらみ(というか、段階的な開発)により 複雑化してるのは認めるけど、Rakefileというのはねえ。 RubyをコンパイルするのにRubyが必要というシチュエーションは 場合によっては問題にならないか?
まあ、実はYARVにも同じ問題があるんだけど。ただし、こちらはプラットフォームに依存しないのでコンパイル環境ではなく開発環境にRubyがあればいい。
高速HTTPサーバMongrelの開発者、Zed Shawのプレゼン。 しかし、予想に反してMongrelの話はほとんどなし
www.ruby-lang.orgに使われている (というか、そのために開発された)Radiantについて。
実はwww.netlab.jpでも使われている。
例年恒例の質疑応答タイム。
去年は「->」のこととかで盛り上がったのだが、 今年はあんまりわくわくするような質問は無かった。 まあ、新しい人が大量に流入してるので 雰囲気も毎年変わるよな。
あと、英語がわからない場面が多くて、 申し訳なし。
*1 実際に書いているのは11/09
昨日の三鷹での講演が記事になっている。
「Rubyは地方格差を跳ね返す原動力(になったらいいなあ)」の部分を ことさらにとりあげたもの。
地域に関係ないネット上のリソースである オープンソースソフトウェアが地域振興の材料になるというのも ちょっと奇妙な話なのであるが、 基本になる人と人との直接的な関係を強化する というのは逆説的ながら秀逸な発想だと思う。
まあ、前例があるわけではないので、「絶対にうまくいく」 みたいな手放しでほめるわけではないが、 直感的に考えるよりは見込みがありそうだし、 少なくとも勇気のある行動だと思う。
著作権問題の解消は「盗用の解消」であるが、 それは一般的に思われるような「(再)利用の禁止」ではなく、 「再利用を盗用扱いしないこと」によるのではないか、との話。
ただし、原著作者の名誉を尊重する限りにおいて。
私はこの意見に賛成する。
他人の仕事を自分のものと偽るのは良くない。 それはいかなる意味でも「盗用」である。
では、他人の仕事をその人のものとして認めつつ、 その上に更なるものを構築したら?
私はそれを肯定する。社会的にも肯定されてほしい。 なにかそれを支援する方法があるか。 立法が必要か。 想定される問題はなにか。
言語比較は慎重に、という話。
だいたい比較をする時には、一方に詳しくてもう一方に疎いとか、 一方の最新情報には通じているけどもう一方の情報は古いとかになりがちで、 公平かつ有益な比較は難しい。ならしない方がいいんじゃない、というのが この著者の主張。
まあ、そういうこともあるかも。 でも、議論から生まれる新しいものもあるわけで、 反論できる余地があるなら、それはそれでいいんじゃないかと、 私は思う。