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Matzにっき


2006年10月20日 [長年日記]

_ [Ruby] RubyConf1日目

実際に書いているのがずいぶん遅くなった*1せいもあって、 時期を外してしまったし、 関心のある人は他の参加者のレポートで読んでしまっているだろうから、 簡単に。

Welcome

Rich KilmerとChad Fowlerからご挨拶。

  • 会場、横長っ。スクリーンは二つ。
  • 300人を越えてるよ。RailsConfに流れると思ってたのに
  • メールではしばしば見かけても、あうのは初めてという人もちらほら。 結構、印象が違うな。

The History of Ruby

高橋会長による「Rubyの歴史」。

  • 和服で登場の会長
    • 日本人は感激
    • 外人は華麗にスルー気味
  • 基本的にはRubyKaigi2006と同一の内容
    • 歴史がそんなにかわってもらっても困るけど
  • いよっ、元祖高橋メソッド
    • でも、これもスルー気味
  • DXPresenterのエフェクトはややインパクトがあったかも
    • でも、Keynoteでもできないことはないからな
    • 会場のMac率を考えると、期待したほどの驚きはなかったか
  • しかし、日本人のプレゼンは台本がないとかなり辛そうだな。
    • 私はここ数年台本を用意することにした
    • 台本を読むのはプレゼンとしては最低だが、台本がないと最低もクリアできない
  • 正直、もうちょっと受けると思っていたのだが
    • でも、結構、歴史の知識は後の会話で引用されていた

Sydney and Rubinius: Hardcore Ruby

ネーティブスレッド対応をはじめ、 互換性をあまり気にしない改造RubyインタプリタSydneyを開発していたEvan(結婚で名字が変わったそうだ。Phoenixとはかっこいい)によるSydneyの総括と、新たなチャレンジであるRubiniusの紹介。

  • 元気がいい。自分で「若いから」と言ってた
  • 1.8.2ベースのSydneyはやってられなくなったので、全部ステ
  • Squeakアプローチ
    • RubyサブセットでRubyインタプリタを
    • サブセットをCにトランスレート(今回は手動で)
  • まだ評価できるレベルではない

日々、「老人力」の強化が進んでいる身としては、 このパワーはうらやましい。

ただ、Ruby(インタプリタの実装)には、 「始めるのは簡単だが完成度を高めるほど継続するのは至難の業」という傾向があるので(言語仕様の完全実装が難しすぎ。ちゃんとした仕様がないことを除いても)、 今後もこの開発が継続するか、どこまで完成度が高められるかに注目したい。

RubiniusやCardinal(Ruby on Parrot)やJRuby(Ruby on JVM)、RubyCLR(Ruby on .NET)が 頑張ってくれるのはうれしいし、 速度や安定性でこれらのうちのどれかが勝つようなことがあれば、 そちらが主要な実装となるのもやぶさかではない。 私のがリファレンスインプリメンテーションとして残るなら。

という風にあまり実装にプライドを持たないでいられるのは、 要は「自分が言語設計者だ」という自己認識を持っているからなんだろうな。 本音を言えば、ちょっと悔しいのだけど、言語実装者としてあまり優秀でないのは 日々実感しているから、今さら大騒ぎするほどではない。

Dynamic Graphics With Ruby

集中力が切れて話を聞いてなかった。ごめん。

Life After mkmf

Rubyのビルドに使われてるmkmfは複雑杉。 mkrfでRakefileを作ってrake動かすのがいいんじゃない? という話。

まあ、mkmfが過去のいろんなしがらみ(というか、段階的な開発)により 複雑化してるのは認めるけど、Rakefileというのはねえ。 RubyをコンパイルするのにRubyが必要というシチュエーションは 場合によっては問題にならないか?

まあ、実はYARVにも同じ問題があるんだけど。ただし、こちらはプラットフォームに依存しないのでコンパイル環境ではなく開発環境にRubyがあればいい。

Iron Mongrel: Fuzzing, Auditing, Thrashing, Risk and The Ways Of Mongrel Destruction

高速HTTPサーバMongrelの開発者、Zed Shawのプレゼン。 しかし、予想に反してMongrelの話はほとんどなし

Radiant -- Content Management Simplified

www.ruby-lang.orgに使われている (というか、そのために開発された)Radiantについて。

実はwww.netlab.jpでも使われている。

Roundtable

例年恒例の質疑応答タイム。

去年は「->」のこととかで盛り上がったのだが、 今年はあんまりわくわくするような質問は無かった。 まあ、新しい人が大量に流入してるので 雰囲気も毎年変わるよな。

あと、英語がわからない場面が多くて、 申し訳なし。

*1  実際に書いているのは11/09


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