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Matzにっき


2004年12月21日 [長年日記]

_ 豆蔵

朝から東京に移動。豆蔵を訪問。

しかし、豆蔵って上場もしているし、わりと有名だと思っていたのだが、私のまわりの同僚たちは誰も知らなかった。 「豆蔵? コーヒーの会社ですか」とかめちゃめちゃなことを言ってる。 きみたち、それはあんまりじゃないかと。確かに変わった名前だけど。

私にとっては有名人がたくさんいたり、 過去の(オブジェクト指向繋がりの)知り合いが次々と転職したりして 縁浅からぬ印象がある。実際、今日も以前の同僚から来た話だし。

昼食は新宿住友ビル51階の「地鶏や」。 味もサービスもまあまあだが、お昼時だというのに分煙されていないのは大減点。 たぶんもう利用しない。

午後は豆蔵のスタッフと顧客を交えての情報および意見の交換。 非常に興味深い話を聞いた。

杭州富士制冷機器有限公司は、 富士電機の中国子会社で自販機の製造を行っている。 富士電機は日本最大の(ということは世界最大の)自販機メーカーであるそうだ(富士電機にはもうひとつ世界一があると聞いたのだが、忘れてしまった)。

さて、自販機に内蔵されているソフトウェアの開発は、 コンピュータの能力に制約があることもあり、 再利用度も低くあまり効率が良くなかった。 そこで杭州富士制冷機器有限公司では、 Rubyを用いたプラットフォームを用いて、まずプロトタイプを作成し、 それを組込用Cに(人間が)変換することで生産性を高めるアプローチを取った。

私が驚いた点は以下の通り。

  • 継承とアスペクト指向を利用したプラットフォームでソフトウェア部品の再利用度を向上
  • 型による情報がない部分はApolloを用いた一種のブラウザでカバー
  • プロトタイプをドキュメントとすることで属人性が排除され、 多数のプログラマで分業できるようになったため、開発期間が3分の2になった。
  • しかも、中国人プログラマを(言語の壁にあまりじゃまされずに)活用できるため、 ソフトウェアの開発コストは従来の2分の1に。
  • このプラットフォームの基本部分は、 杭州富士制冷機器有限公司の社長(総経理)が自ら開発した。

えーと、削減したコストを考えると、これは驚くべき適用例ではないかと。


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