«前の日記(2007年03月30日) 最新 次の日記(2007年04月01日)» 編集

Matzにっき


2007年03月31日 [長年日記]

_ 姪、誕生

二番目の妹のところに女の子が生まれた、と聞いた。 めでたい。本当に「女の子は早生まれがトク」かどうかは知らないが、 はからずもそうなったね。

これで、一族が、えーと、何人になったんだっけ。

_ [言語] Objective Caml 入門

関数型言語アレルギーを克服すべく勉強しよう、というリンク。

でもねぇ、なんだろう、この理解できなさは。

絶対、先入観が原因だと思うんだけどな。 OCamlならそんなに「普通の言語」から遠いはずはないし。

実はOCamlのソースコードは読んだことがあるのだが、 そっちはすんなり読めたという。やはり、C言語だから? どんな言語でも内臓は大差ないから?

_ [Ruby] Headius: Can Your Ruby Do This?

JRubyのマルチ言語サポート。すげーっ。

「私のRuby」ではできませんとも、もちろん。

_ ITmedia News:「つまんない」「暇」を検索入力・会員100万人は簡単−−携帯ネットの意外な“常識”

私の理解できない世界があるということは、なんとなく分かった。

あまりお近づきになりたくない気もする。

追記:

「お近づきになりたくない」だけではあんまりなのでもう少し考察してみた。

なぜ、「お近づきになりたくない」かというと、あまり知性が感じられないからだ。 暇なのは分かるが、それを検索エンジンに愚痴られても。

が、そこは我慢してもうちょっと考えてみよう。

なぜ知性を感じないかというと、我々が理解している検索エンジンの仕組みを考えると 「暇」とか「つまんない」とか言われても、それは検索語としてまったく意味がないからだ。

が、上の事実は、世のケータイユーザの大半は検索エンジンがどのようなもので、 どのようなテクノロジで動作していて、 どのような検索が得意なのかということについて、 まったく知識がなく、想像力も働かないことを意味している。

長らくPCを中心としたコンピュータテクノロジは、

  • すごく知ってる人
  • ちょっと知ってる人
  • 知らなくて困ってるから周りに尋ねる人

くらいに分類されるユーザにリーチしていた。

しかし、ケータイの普及により、新しい層が登場してしまった。 すなわち、

  • 自分も知らないし、周りも知らない。 なんとなく分からないまま使ってるし、 分からないことは分からないままでも困らない

彼らは(過去の経緯を)なんにも知らないし、 知ろうともしないから、過去の文化を尊重することもないし、 新しい慣習(場合によっては迷信)を作ってしまう。 しばらく前に話題になった「読み逃げ」なんかはその例だろう。

「読み逃げ」は、話題のきっかけになったOKWebの質問は「釣り」だったけど、 そういう文化があるのは事実のようだし。 あと、バトンとか。最近では変なタイトルを使う「悪質」なものも登場している。

もちろん、以前にもこういう迷信を支える層は存在していたけど、 割合としてはごく小数だったし、 PCというのは「分からないままなんとなく使う」には難しすぎるツールだった ので、大勢に影響することは決してなかった。

が、今やこの層が国内だけでも数百万人である。

これだけの人数が持つパワーを考えると、 なにか「手を打つ」必要性もあるのかもしれない。

言語オタクの立場からだと、思いつくのは ケータイユーザ用スクリプト言語?

なにそれ。


«前の日記(2007年03月30日) 最新 次の日記(2007年04月01日)» 編集