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Matzにっき


2007年03月15日 [長年日記]

_ [Ruby] 楽天、ネットサービス開発で「Ruby on Rails」を採用--NaClが全面協力 - ZDNet Japan

楽天がRubyとNaClについてのプレスリリースを出した。

各社報道

リリースの具体的な内容は以下の通り。

楽天株式会社(本社:東京都港区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史、以下楽天)は、自社の提供するインターネット・サービスの開発手段として、Webアプリケーション開発フレームワーク「Ruby on Rails」の利用を開始しました。

楽天はこれまでも様々な開発手法を導入し、拡張性や可用性の高い、コスト効率の優れたアプリケーションを構築することで、ユーザーニーズに対応したサービスをタイムリーに提供してきました。その中で、LAMPなどのオープンソース技術も開発手法の一つとして活用しています。

インターネットを取り巻く環境が著しく変化する中、インターネット・サービス企業は、多種多様なニーズに対応できる柔軟な開発手法が一層求められています。楽天は、サービス開発の生産性をさらに追及していくべく、プログラミング言語Rubyによるサービスを構築するRuby プロジェクトチームを立ち上げました。同チームは、「Ruby on Rails」を用い、主にインターネットショッピングモール「楽天市場」における大規模トランザクション処理や高度なセキュリティ処理に対応したサービスを開発していきます。

また、「Ruby on Rails」および、Ruby を用いた開発手法の標準化を行い、大規模サービス開発手法の確立を行ってまいります。

なお、当取り組みにおいては、Rubyの開発者まつもとゆきひろ氏が在籍する株式会社ネットワーク応用通信研究所 (略称:NaCl、本社:島根県松江市、代表取締役:井上 浩)の全面協力を得て、Rubyプロジェクトチームは同社よりRailsトレーニングプログラムを受講し、開発基盤「Rails Platform」を活用してサービス開発を行っています。

内輪からみると、内容自体は昨年からやっていることを改めて発表しただけなのだが、 「楽天がプレスリリースを打つ」という行為そのものがインパクトを持つようだ。

このプレスリリースに込められた楽天のココロは、

  • 楽天はすでにRuby on Railsを使ったサービス開発を始めてる
  • ただ単にRubyやRailsのユーザとなるだけでなく、積極的に技術を確立したい。 「開発手法の標準化」や「大規模サービス開発手法の確立」はその辺をイメージしている
  • ただ単に自社で取り組むだけでなく、NaClの全面協力を得て、Ruby本体への働きかけを視野に入れている

というようなものだと思われる。その背後には、 楽天技術研究所の設立など、「技術の楽天」のイメージを構築したいという楽天の意思も感じられる。

_ [OSS] アジアがオープンソースを求める本当の理由:ITpro

お金だったり、物作り精神だったり、いろいろだよね。

前にも書いたけど、「OSSはタダだから」とはよく言われるけど、 実際、知的財産権保護の意識が低い国々では、 商用ソフトウェア(の海賊版)の方が安価に入手できたりするんだよね。

「やっぱ物作り」というこの記事の結論は正しい読みだと思う。 今はあまり目立たないアジア発のOSSだけど、 このまま発展して、一大OSS産地になるといいなあ。

日本みたいな見えない文化障壁がないぶん、 マレーシア、インドネシア、シンガポールとか、 けっこう見込みがありそうな気がする。

_ JTPA Tシャツ

会社に渡辺千賀さんから 荷物が届いていた。中身はTシャツ。

JTPAにはシリコンバレーの文字は入ってないから、 日本で着てても問題ないよね。


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