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Matzにっき


2005年07月06日 [長年日記]

_ [Hack] WikiNameのないWiki

Wikiといえば、その特長のひとつとして大文字にした単語を並べて作るWikiNameがある。 しかし、日本語ではWikiNameを表現することはできないので主に二重ブラケットで囲んだ [[ブラケットネーム]]が使われている。

さて、先日来、コンピュータについては専門家でない人も含めてWiki(Hiki)を運営しているのだが、 各ページに適切なWikiNameを付けるのはなかなか難しいものらしい。 とはいえ、日本語のページネームはURLエンコードされた記号・数字の羅列になるのであまりうれしくない。

結局、私がWikiNameを付けたページを作り、他の人は既存のページに書き込む、 という運営方法で落ち着いている。経験があまりない人にとって新規ページ作成は負担なものなのだ。

しかし、考えてみればHikiにはページ名の他にページタイトルというものがあって、 リンクなどはすべてそちらで行うことができる。 とすれば、実はWikiNameというものは不要なものではないか。 実際、多くのCMSでは各ページには名称がついておらず単なる数字で識別されているものも多い。

そこで、手近にいたHikiのメンテナ(ま、ようするにかずひこくん)を捕まえて、

「新規作成」でページ名を入力しなければ、勝手に(数字な)ページ名を生成してくれるって仕様はどうだろうか。

と持ちかけてみた。元々のWiki的な発想を持つ人からは出てこないアイディアだったそうだが、 前向きに検討してくれるそうだ。もしかしたら、近い将来のHikiにはそういう機能が追加されるかも。

と、今日のハックはアイディアのみであった。

_ [OSS] 究極の俺オープンソース

「OSDに従うべきだ」とか「オープンソースと呼ぶな」といった オープンソース論争はもう1年以上前になるのだが、そんなのをふっとばすような豪快な「オープンソース」が登場した。

MYCOM PC WEBによれば、 人材派遣会社の聖翔(SEISHOW)は、 技術向上を視野に入れた職人気質な派遣技術者を、 アウトソーサー(アウトソーシングされた技術者の意味らしい)越えた 「オープンソーサー」と呼ぶそうだ。

自動車メーカーをはじめとする各社のアドバンテージが、技術者一人ひとりの力に大きく左右される時代の中で、技術という質の高い“オープンソース”を提供する企業がある。「オープンソーサー」を標榜し、技術に特化した人材派遣や開発業務受託を行なう聖翔株式会社が、それだ。技術志向の同社は、エンジニアの新しいワークスタイルを確立し、今また次の目標を目指してスタートを切ったばかりだ。

−−人材アウトソーサーとは異なるのでしょうか
飯島 技術会社として技術レベルの高い仕事を行っています。“アウトソーシング”という外部委託の考え方ではなく、新しい製品研究開発の取り組みなど質の高い技術開発に特化した“オープンソース”というビジネスモデルを提唱し、物を創り出す醍醐味を受託や派遣という形でお客様とコミュニケーションを図っています。

−−オープンソーシングとは、どんなものでしょうか
飯島 アウトソーシングは、企業のTCO削減や業務効率化を図る手段として毎年増加していますが、単なる労働力の提供と一部には必要な時に必要な人材の確保ができるものの、全体からみるとスキル不足、ミスマッチングなどが生じています。技術者はスキルアップ、キャリアアップへの欲求とこだわりが大きい。そんな技術者を満足させるワークスタイルが『オープンソーシング』という働き方です。コアの技術に触れられるチャンスが多い研究開発設計などに特化することによる充実とチャレンジが自己満足への道を歩めると考えています。

「技術という質の高いオープンソース」で、 「オープンソースというビジネスモデル」だそうだ。勘弁してほしい。

この記事にはアンケートも用意されているので、我と思わん人は 「俺オープンソース反対」でも、「オープンソースという単語を悪用するな」でも、 「迷惑。勘弁してくれ」でも、 「よくやってくれた。打倒オープンソースソフトウェア」でもなんでも、 忌憚ない意見を送ってみてはどうだろうか。

ネットワークウォークマン「NW-E407(1GB)」が当たるかもしれない。


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