朝から出席(でも遅刻した)。レポートは以下の通り
オブジェクト脳をなぜ作るのか
NECの牛尾さんとウルシステムの平澤さんとの対決。 しかし、21世紀になるのに「オブジェクト指向の三要素(カプセル化、継承、ポリモルフィズム)」はないだろう、とか思った。カプセル化も継承も本質ではない(それらを含まないオブジェクト指向プログラミング言語やツールはいくらでもある)。この中で一番本質に近いのはポリモルフィズムだけで、それは牛尾さん自身もお認めになっているようだ。
じゃあ、残りの二つはもういいじゃん、とか思ったのだが、じゃあ実際の例題を、 となったとき、Javaだとポリモルフィズムを使うのに、 継承(inheritsかimplementsのいずれか)が必須であった。 そういうことか。Rubyなら特異メソッド使ったりして直接ポリモルフィズムを体験できるのに。
あと、牛尾さんがオブジェクト指向を理解したのはファウラーの『リファクタリング』を読んで、 ということを聞いてちょっとショックだった。めちゃめちゃ最近じゃん。 Blue Bookを読んで(あれ、Green Bookだったかな)って私はもう「じじい」だな。
私自身は21世紀になってから、 (プログラマに対する)オブジェクト指向の教育には「コンピュータに置き換えないたとえ話は役に立たない」と思うようになったので、牛尾さんの話には同意できなかった。「オブジェクト指向という考え方は分かった気がしたけど、実際どう使ったらよいのかわからない」というのは、この「たとえ」が原因ではないかと疑っている。
はてなの作り方
ちょっと遅刻しての参加。私が聞いた範囲では「作り方」というよりも、 ユーザとの付き合い方、仕様の引き出し方のような話が中心だったみたい。 もっともこれらも広い意味での「作り方」の重要な要素なのだけれども。 きびきびした開発が心地よさそう。 話を聞いていて『4274065979』の5章「もうひとつの未来への道」を思い出した。洋の東西を問わず似たようなアプローチで成功しているなあ。
はてなの近藤さんとはんばあぐさんが同級生だったとは知らなかった。同級生でスピーカーしてたのね、今回。
スマートデータベースCachéの実力
「きゃっしゅ」ではなく「きゃしぇえ」と発音していた(最後のeの上にアクサンが付く)。 なんだか面白いもの。B-treeやXMLデータベースを連想する。 RDBを念頭に置いていると「データベース」と呼ぶのに抵抗がある。 もっともRDB以前は「データベース」という単語は違う物を指していたし、 私が前職で使っていたObjectStoreはもっと「データベース」らしくない。
Caché ObjectScriptとCaché Basicという言語を持ち、 データベースそのものがその言語のVMを持つというアプローチと 名前と値のペアを持つノードのツリー構成でデータベースを表現するのは面白いと思った。
でも、もうちょっと突っ込んだ内容が知りたかった。 言語おたくとしては上記2言語の仕様とかに特に関心がある。 展示会にもブースを出していないみたいで、カタログとか入手できなかった。
あと、性能についても「ほとんどメモリ上の処理なんで高速」とかで具体的な数字の言及は無かった。 データベースソフトウェアのマーケティングとしては不利ではないか。
My Framework作成の勧め: アプリケーションを30個作る時には何を用意するか
前半は「お手製」フレームワークについて。 結局はTemplate MethodパターンとStrategyパターンの応用をフレームワークと呼んでいるような気もしないでもない。
「硬い」Javaで、「柔らかい」アプリケーション(たとえばWebサービス)を提供するために、 あまり変化しない部分から変化しやすい部分を切り出す苦労があるのだと感じた。 より「柔らかい」Rubyではそこまで必要性は高くないが、 修正は分散しない方が生産性が高いので、同じアプローチは有効だ。
後半はDIについて。C#でDIコンテナを作って解説していたが、 私の周囲の人の頭上に「?」マークが浮かんでいるのが見えるようだった。 もっとも、別の方法で解説するのは発表者の負担が大きいのだが。
全体を通じて久しぶりに「私の知らない世界」を見たなって感じ。 知らないところからいろいろと刺激を受ける。
あとはいろんな人と話ができたのも楽しかった。 「Ask the speaker」というコーナーがあったのだが、 聴衆はあまり聞きに来なくて、主にスピーカー同士の交流が行われていたように思う。 JAOOでも同じようなことが起きていたので(「このカンファレンスに来るといろんな人と話せるからいいんだよな」って言ってたスピーカー多数)、洋の東西を問わないのかもしれない。
それから、本イベント中、マイミク二人ゲット。
今回は扱いが良かったので、気分よく過ごすことができた。 関係者に感謝したい。
4274065979
以前のエントリでふてくされていたら、 今日の昼食で「謝辞に名前が載ってますよ」との指摘。 あわてて確かめたら確かに「Matz」と載っている。
ありたがいことだが、実質的に役に立ってはいないので、今度は過分だと思う。