IBMによって、オープンソースソフトウェアを対象にする限り、特許を主張しないという宣言。
IBMによれば、Open Source Initiative(OSI)によるオープンソースソフトウェアに現在または将来適合する予定のソフトウェア開発に従事しているか、そのソフトウェアを使用しているいかなる個人、コミュニティー、企業にも適用されるとしている。この宣言によりIBMは、IT業界全体で「特許共有」を行う仕組みの基礎固めをしたい考えだ。
実際の宣伝文句とは異なり、実際に寄贈を行うわけではない。 もっとも、たとえほんとうに寄贈を行いたくても現状では「オープンソースを代表する団体」は存在せず、 受け皿がないわけだが。が、この動きをきっかけに そのような(先日のエントリのOpen Source Collectiveのような)受け皿を作り「特許共有」を行うことも現実的になってくる(可能性がゼロではないかもしれない(笑))。
とはいえ、やはり特許のようなものは、持たざるものがいくらあがいても、 持てるものであるIBMのわずかな動き(公開されたのはIBMが持っている膨大な特許のうちごく一部*1)にさえ、 かなわないというのは「世の中の仕組み」を見せつけられたような気がする。
しかし、OSI準拠(「予定」を含む)ソフトウェアだけが対象ということは、 この特許を使いたいためにオープンソース化するという動機を生む可能性があり、 オープンソース陣営としてはありがたい。
結論としては「IBMは対外活動が上手だなあ」というものだ。 オープンソース陣営に対してイメージ向上に非常に効果的な手を適切に打ってくる。
では、IBMで働きたくなるかというと、契約条件の関係で、とてもIBMでその気にはならないが。
いずれにせよ、企業体としてはそのような適切なアクションが取れる存在になりたいものだ。 うちの会社は決して上手とは言えないからな。
*1 IBM所有の特許の一部しか公開されなかったことについて文句はない。むしろ当然の判断だと思う