先日、リコール修理されたうちの洗濯機だが、 まだ調子が悪いのでもう一度サービスセンターの人に来て見てもらった。
すると、乾燥機の冷却パイプがつまっていたそうで、部品交換してもらった。 快適に乾燥するようになったよ。わざわざ来てもらったのに無償対応してもらった。
サンヨーサービスセンターの方、どうもありがとう。
月曜日のプレゼン資料ができたということで、 会社にいるかずひこくん、西田くん、大谷さんと、 それぞれの自宅にいるわたし、前田くんでSkypeコンファレンスコールを使って 発表練習。顔が見えないのが少々不安だが、 みんなが同じスライドを見ているので、そんなに困らない。
長電話は遠距離恋愛だった婚約時代を思い出すわ。
しかし、思ったより長引いて、夕食に響いてしまった。
会社組はコンファレンスコール終了後もあちこち手直ししてたらしい。 ご苦労様、いい結果が出るといいね。
手元に1993年10月号のDr. Dobbs Journalがある。 ちょうど11年前、Rubyの開発を始めた頃に入手した雑誌だ。
この号の特集が『Beyond C++』。C++の次の言語はどんなものだろうと言って、 各種言語を紹介している。紹介されている言語は以下の通り。
C+@
「cat」と発音する。
別のことで有名になって多くの人からえらく嫌われたJim FlemmingFleming氏によるプログラミング言語。
当時のUsenetでの騒ぎを覚えている人はもう少ないに違いない。 「ATT Bell研の成果を独占的にライセンスして」は決まり文句。 なんだかいろいろな売り文句があるのだが(高い性能、移植性とかなんとか)、 言語仕様の全体がいつまでたっても紹介されず、 処理系の入手方法も明らかにならず、 揚げ句の果ては連絡先として紹介されたUnir Technology Inc.が登記上存在しないらしい、 などという話が出て、結構盛り上がった。
言語仕様的には面白みはあんまりないが、Rubyの「a[1]=5」が「a.[]=(1,5)」と解釈される仕様は、 この記事を参考に決めたような記憶がある。
Parasol
個人コンサルタントであるRobert Jervis氏が開発していた、 ネットワーキングとパラレルコンピューティングを重視した言語。 原稿執筆時点では処理系は公開されていなかったが、 結局公開されたのだろうか。
Sather
前田くんが好きな言語の筆頭。当時のSatherのバージョンは0.2だが、 原稿はSather 1.0を対象に書かれている(とあるが、実際の1.0の仕様とは違っているような)。 仕様の継承と実装の継承を明確に分離したり、一風変わったイテレータを持っていたり、 いろいろ面白い言語。私も個人的に気に入っている。静的型のオブジェクト指向言語の中では一番好きかも(でも、大きなプログラムを書いたことはないから、使いやすいかどうかは知らない)。
Berkley International Computer Science Instituteで開発されていたが、 開発者が卒業するとともにフェードアウトしてしまった。 後継者がつかなかったのがSatherの不幸だ。
Liana
Base TechnologyによるWindows上でのプログラミングを主眼にしたオブジェクト指向言語。 型が省略可能なC++という感じで目新しさはない。
Beta
Simulaの直系の子孫にあたるオブジェクト指向言語。ただ、あんまりSimulaには似ていない。
言語仕様としてはINNER(つまりサブクラスのメソッドをスーパークラスから呼び出す)という仕掛けが面白い。 普通は逆(つまりsuperでスーパークラスのメソッドをサブクラスから呼び出す)だよね。 他にも面白い(他では見たことがない)仕様が盛り沢山なのだが、 この短い記事では全容は理解できず、かといって、きちんと調べてもいないので いまだに謎のままなのだ。
Betaはどうやら北欧を中心にしてそれなりに生き残っているらしい。 あんまり知られていないけど。 というか、彼の地ではいまだにSimulaのユーザもけっこういるのだ。 Simulaの父である故Kristen Nygaard教授に聞いたから間違いない。
Eiffel
一部では超有名な言語。今はどうなってるんだろうね。
Drool
「Dave's Recycled Object-Oriented Language」。 XLISPなどで有名だったDavid Betz氏の(当時)最新言語。 アドベンチャーゲームのスクリプティングのために作ったそうだ。 プロトタイプ型オブジェクト指向なのが興味深い。
ていうか、この言語は絶対「次のC++」を目指してないよね。
しかし、これらの言語がいずれも「次のC++」にはならなかったのは興味深い。 「言語の将来を予測するのはそれほど難しいことだということか」と、 いう思慮深げな結論を出したいところだけど、 正直なところ、DDJの編集は本当は「次のC++」なんかに関心はなくて、 当時あまり知られていない言語をリストしたかっただけなんじゃないかと。
当時の視点で見ても、紹介された言語のうち曲がりなりにもメインストリームになりそうだったのはEiffelだけだったような(次点: Bata, Sather)。ここで当時発表されたばかりだったJavaとかにフォーカスしてればお手柄だったのに。
いずれにしても「言語って本当に面白いですね」。では、また来週。