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Matzにっき


2003年12月18日 [長年日記]

_ [OSS]オープンソース作者を抱え込むメリット(2)

Moleskinさんは、昨日一昨日

  • オープンソースプロジェクトを支援することで、 その企業のオープンソースへの取り組みが真摯であることを証明できる
  • オープンソース開発者の名前と技術を一種の企業の看板にできる(ブランドの確立)
  • オープンソース開発者から技術移転により社内の技術向上が期待できる
  • オープンソース技術者が働きやすい環境として認知され、他の技術者を集めやすい

に対し、

3番目のやつはともかく,それ以外は宗教団体あるいは企業なんかで芸能人や文化人が果たす,俗に「広告塔」と呼ばれる役割とどのへんが違うのでしょう?

(中略)

身に付けたスキルで直接的に飯が食えない商売って,やっぱり問題あると思うよ.

コメントしておられる。

で、最初の質問に対する答えは「違わない、広告塔上等」である。

オープンソース開発者(というか私)にとって重要なのは、 好きなこと(開発)をやって食べていけることであり、 それができるのであれば、企業が私のことを広告塔と見なしていようがなんだろうが 別に気にしないことにしている。 企業が私にどのように価値を見いだすかということと、 私がなにを企業に求めるかということはある程度独立だ。

後者に関しても、私は気にしない。 身につけたスキルがあるからこそ広告塔になれるわけで。 「身に付けたスキルで直接的に飯が食えない商売」って、 それこそ星の数ほどあるのだが、それについてもそれが世の中の現実としかいいようがない。

やりたくもない「スキルで直接的に飯を食う」仕事をするよりは、 広告塔になってでも好きなことをして飯を食う方が私にとっては百万倍健全だ。

とはいうものの、

「プレゼンス」とか「業界内の地位」なんてのは技術力とは直接関係のない話で、 どちらかといえばマーケティングに近い領域だ。 そこに面白くないものを感じる私がいるのは事実だけどね。


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