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Matzにっき


2003年05月21日 [長年日記]

_ しゃべリッチ

「しゃべリッチ」というのはNTTコミュニケーションズの割引サービスのひとつで、 あらかじめ指定した2箇所の電話番号に対する通話が通常の45%から50%引きになるというものです。 ですから、県外通話先が限られている家庭ではお得になりますよ、ということです。 実際、私のうちも含めてそのような家庭は多いと思われます。 このサービスは県外通話のマイラインプラスをNTTコミュニケーションズに指定している場合には無料ですが、 そうでない場合には毎月200円の定額料が必要です。

先日、妻がNTTの電話営業を受け、「お得です」という言葉に負けて、 このサービスの申し込みを承諾してしまったそうなのです。 しかし、私は「きっと後で申込書を送ってくるだけだろう」と思って無視してました。

ところが、今日になって「サービス開始のお知らせ」なるハガキが送ってきました。 もう正式に申し込んだことになっていたのです。

予想外です。

実はうちは県外通話はフュージョンコミュニケーションをマイラインプラスに指定しているのです。 ということは、「しゃべリッチ」を申し込むと毎月200円引き落とされることになるのです。 しかもうちの場合、県外通話にはNTTコミュニケーションは使われませんから、 この割引サービスの恩恵を受けることはまったくないわけです。

にもかかわらず、「サービス開始のお知らせ」には

月額定額料: 無料
マイラインプラスの「県外への通話」区分で弊社からのご登録を解約された場合、
200円となります。

と書いてあり、あたかも解約と言う積極的なアクションを起こさない限り、 現状では無料であるかのような表現です。 現在マイラインプラスがNTTコミュニケーションズでないヒトが 「しゃべリッチ」割引を申し込むとは考えていないせいでしょう。 これでは、もし自分のマイラインプラスの加入状況に関心がない、 あるいは忘れてしまっている人は、この問題に気がつかない危険性があります。

妻は電話営業のヒトから200円の定額料のことを告知されていませんでした。 このヒトは、うちがNTT以外から電話の請求書を受け取っていることを聞き出していますので、 うちのマイラインプラスがNTTコミュニケーションズでない可能性について当然配慮すべきだったはずです。

さっそくNTTコミュニケーションズに電話して、告知義務に違反すると指摘して解約しました。 また営業のやり方に対して抗議しておきました(効果はないでしょうけど)。

もちろん、NTTに悪意があったとは考えていません。 ただ単に(おそらくは社外の)電話営業のヒトが、 マイラインプラスへの加入状況を確認することを怠ったという ヒューマンエラーだと思います。

それに加えて、NTTコミュニケーションズの思いこみにより問題が見えにくくなってしまっていたのでしょう。

  • マイラインプラスはNTTに違いない
  • しゃべリッチを申し込む人はNTTをマイラインプラスに指定しているに違いない

というような、単純な「思いこみ」が重なって、 予想外の(悪い)状況が発生する典型例ではないでしょうか。 インタフェースやひいてはヒューマンエラーに関心を持つものとしては興味深い事例です。

いや、待てよ。

もし、誰かがこの問題の見つけにくさに気がついて、悪意を持ってこの種の営業をしたとしたら、 気がつかずに毎月200円引かれる人はかなりいるでしょう。 実際に割引は行わなれないわけですから、この額はまるもうけです。 ひとつひとつは小さな額でもたくさんあつまると結構な稼ぎになるような。

いやいや、考えすぎに違いない。


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