«前の日(11-14) 最新 次の日(11-16)» 追記

Matzにっき


2003年11月15日

_ [Ruby]Ruby Conference 2日め

  • Programming LEGO MINDSTORMS with Ruby - Shashank Date

    カンザスから車で12時間かけて家族連れでやってきたDate(「だて」と発音する)氏と息子さんによるプレゼン。 Rubyで、というより、LEGOマインドストームの魅力でひきつけるプレゼンだった。 11歳のRudyくんによる発表も絶妙。

    技術的にはdRubyを使って手元のマシンで作ったプログラムを 赤外線タワーのつながったサーバーに送るところが興味深い。

    Date氏はインド系で、Dateには「寄進者」という意味があるのだそうだ。

    資料

  • (...aside) - David Alan Black

    大学教授であるDavidが学生から授業のコメントを集めるため、 原則的に匿名で、かつコメントに対する返事を書くことができるような一種の掲示板を作りたくて、 用意したフレームワークasideの紹介。

    資料

  • Building Environment for MUES - Michael Granger

    MUD(multi user dungeon)の新しいサーバであるMUESの紹介。 日本ではあまりMUDをやっている人がいないが、 欧米ではそうとう人気があるらしい。

    資料

  • A Cluless Ruby Hacker Explores Security - Nathaniel Talbott

    セキュリティについて改めて考える。 Rubyではバッファオーバーフローの心配がないし(あれば私のせいだ)、 $SAFEなどもあるので、セキュリティ的には有利だが、 結局はセキュリティというものは顧客(あるいはユーザ)次第だということ。

    資料

  • Teaching Ruby to Testers - Bret Pettichord

    有名なテストエバンジェリストBrian Marickの同僚であるBret Pettichordが、 彼と一緒に行っているテスト啓蒙用講義の紹介。テストとは何かから始まって、 こんなことを教えているというような話。

    Win32OLEを使ってIEを操作してWebアプリケーションをテストするデモが印象的。

  • Introducing Ruby to the Corporate World - Jim Freeze

    ISO9000認定企業におけるRubyの使い方。 Rubyの使われ方ってのはだいたいunofficialなものが多い中、 こういう「本気」の使われ方はかなり興味深い。

    資料

  • Keynote 「Visions for the Future」

    私によるキーノート。将来Rubyはこうなるという話。

    言語がRuby2、その実装がRiteと明確化する。個別の点については、今後また論評しよう。 発表資料はここ

    要旨。

    • 1.9は鬼車、世代別GC、M17N。
    • ローカル変数、定数、インスタンス変数、クラス変数、定数のスコープが変わる
    • 文括弧としての()はなくなる。括弧内では改行が無効
    • 多値が(また)整理される。文法として多値をサポートするか、Values<Arrayを導入するか
    • メソッドの可視性。privateが独立した名前空間に
    • 条件式中の範囲演算子(.., ...)を変えたい
    • キーワード引数、Hashリテラルの新形式
    • メソッド結合
    • セレクターネームスペース
    • オプショナルな型
    • 大々的なRCRの募集
    • RiteのGCは1bit reference countとmark&sweepの組み合わせ

夕食後、となりのホテルに泊まっているRyan Davisの部屋の接続を借りる。 MacってのはEtherに繋げておいて自分が無線LANの親機になるなんてことができるのね。 Linuxでは(できるんだろうけど)そこまで簡単ではないなあ。


2004年11月15日

_ [Ruby]るびまっ

とうとう、Rubyist Magazine 第3号が発刊された。

正直な話、こんなに定期的に出るとは思わなかった(失礼)。 3号目あたりから遅れはじめるのではないかと心配していたのだが、 杞憂だったようだ。もっとも、編集は大変のようなので、ボランティアは歓迎する。

編集と言ってもいろいろで、たぶん一番必要なのか「原稿の催促とチェック」ではないだろうか。 必ずしもRubyに対する深い知識が必要とは限らないので、躊躇せずに名乗り出てほしい

さて内容だが、今月も盛り沢山だ。


2005年11月15日

_ [OSS] フリーソフトウェアとカトリック教義の驚くべき共通点

面白いっ。私にとってはさほど驚くべきことでもないけれども。

で、私の教会だが、プレゼンテーションはパワーポイントが多いし、 大会の映像データはwmvだし、上記の記事の見地からはまだまだ改善点は多そうな。

家族歴史(系図)データはオープンソースではないけど、自作ツールだから、 ファイルフォーマットは確保してるな。私にとって自由ではないからうれしくはないけど。

_ Ajaxを超える「Arax」採用、リッチクライアント新技術の内容は

オープンソースジャパンの新挑戦。

どうでもいいけど、おおげさに持ち上げたわりには単なるflashのように見えるんだけど。 実態を知ってるとあんまりびっくりしないなあ。

オープンソースジャパンの想定顧客層を考えると、 そういう素人だけが感心するマーケティングは逆効果じゃないのかなあ。 Zendアクセラレータのときも似たような思ったんだけど。

同じびっくりするならZimbraのような驚きが欲しい。


2006年11月15日

_ [原稿] オープンソースマガジン

「ライセンス診断」完結。楽勝、とまでは言えないが予想よりは楽だった。 むしろ削るのに苦労した。

_ Servoy - smart technology for smart clients

どこかで見つけたAdSenseリンク。いわく、

From plain browser-only apps to enterprise web-applications with Servoy

Are you tired of the complex syntax and the limited capability of Ruby on Rails? Servoy enables you to code even faster than with Ruby, yet offers you so much more functionality! With Servoy's strong feature set, you can code complex web applications with integrated business rules in very little time; and then deploy these applications as both a Servoy Smart Client and Servoy Web Client -- using the same code-base.

要するにJavaのアプリケーションフレームワークで、Rubyとはなんにも関係ないようなのだが、 「Ruby(とRails)の複雑な文法と制限された能力に嫌気がさしたら」というのは、 面白い宣伝文句だ。普通は逆方向の流れなのだが。

こういうのが出てくるというのは、個人的に「Railsはホンモノ」という印象を与える。

_ [言語] How Does a Programming Language Stagnate?

Perl5が言語として停滞するということはあるのか、という話。

言語の停滞(あるいは衰退)というのは、 言語設計者である私にとって重要なテーマである。

プログラミング言語の衰退はユーザがいなくなることによって起きる。 それはその言語の生態系が弱体化することである。 もはや、その言語で新しいプログラムが書かれなくなると、 言語はメンテナンスモードになる。ユーザは少しずつ減り、 長い時間をかけてその言語は次第に忘れ去られていく。

現在、COBOLがそのモードである。 確かにまだまだCOBOLは使われている(我が社は その証人でもある)。 しかし、そんな我々でも、今からCOBOLの新しいプログラムを書く人が少数派であることは否定できない。

FORTRANもかなり近い。これも分野限定では現役のようだが。

しかし、衰退の前に停滞が来るのだ。

それは言語が進歩を止めることである。 あるいは仮に進歩が起きてもユーザの手に届かなくなることである。

たとえば、Cはかなり停滞が進んでいる。最後の規格はC99だが、 実際問題C99をばりばり使う人はそんなに多くない。

だからこそ、ほとんどの人が1.8に満足していても、1.9や2.0の話を続けなければいけないのだ。 Rubyを前に進めるための燃料として。

とはいえ、1.8と1.9があまりに分離しても、停滞は起きうるんだよなあ。 悩ましい。


2007年11月15日

_ 梅田望夫さんとの対談

『4480063878』で 私を引き合いに出していただいた縁で、 ITProの高橋さんのアレンジで梅田望夫さんと対談させていただく。

梅田さんのことは書籍の記述以外には「よしおかさんの後輩」という 事前知識しか持ち合わせていなかったので、 正直、どういう方向に話が向くだろうかと不安であった。

私は田舎に住む根っからのプログラマ、 あちらはシリコンバレー在住の経営コンサルタント、 共通項の方が少ないような気もしたし。

が、それは杞憂であった。 梅田さんももともとは技術好きなことには変わりなく、 大変に盛り上がった。

対談時間は(撮影も含めて)2時間ほどであったが、 主観的にはあっという間であった。

_ サンワサプライとの対談

で、帰りに空港による途中、 サンワサプライの(社長さんを含む)方々とお話しした。

岡山に本社のある彼らは「同じ中国地方」ということで、 社長さんとの対談が実現したということ。

プログラマの私がどんなお役に立てるだろうか、 とも思ったが、個人的にガジェット好きなので 私の方は大変喜んでお会いすることにした。

サンワやELECOM(やアーベルなど)のガジェットは安い上に 楽しいものが多いので大好きだ。アイディア商品って感じだよね。

でも、私はELECOM商品と相性が悪いんだよなあ。 面白そうと思って買うんだけど、 すぐに壊れたり、壊したり、駄目になったり。

で、社長さんとは、Rubyのこととか、ガジェットのこととか とりとめもなく話をしたんだけど、 その間にもいろんなインスピレーションを受けていらっしゃったようだ。 さすがた。

で、トラックボール付きキーボード(昔のレッツノートの位置にボールがある)ものに ついて、本気で検討してくださるとのことであった。

普段はノート派の私ですが、それ、出たら買いますから。

帰りにはおみやげまでいただいてしまったのだが、 テンキー付きマウスとか、トラベルセットとかいろいろとありがたい。

B000DLFGV4 中でも一番のヒットは、 バッテリーフリーマウス

頻繁に動かすマウスにケーブルがついているとすぐに絡んでしまうので、 以前は(自宅PC用に)ワイヤレスマウスを使っていたのだが、 すぐに電池が切れてしまうので閉口していたのだ。

これならケーブル絡みの心配も少ないし、 マウスは軽いし、 言う事なし。

ま、私は普段はトラックポイントなんだけどね。

トラベルセットにはPCカメラが入っていたのだが、 Linuxからは使える(Ekigaでは表示できる)のだが、 Skype 2.0 for Linuxでは使えないようだ。残念。

_ lab.klab.org - MediaWiki - Repcached

レプリケーション機能付Memcached。

なんか矛盾しているような気がするけど、 それはそれで実用性はあるようだ。

理論だけから攻めていると決して出てこない発想である。


2008年11月15日

_ 書くはずのこと

テンションが低くて日記がかけない。

書くつもり(で放置しているネタ)。タイトルのみ。

  • OSCしまね - Joomlaブースについて
  • PND - PN100
  • うちに三洋電器製品が妙に多いことについて
  • RubyConf 2008まとめ
  • Railsが教えてくれること、Rubyの未来

«前の日(11-14) 最新 次の日(11-16)» 追記