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Matzにっき


2003年05月24日

_ [OSS]スラッシュドット効果

例の「42件」についてスラッシュドットからリンクされたせいで、 アクセス数が10倍くらいに伸びた。さすがスラッシュドット効果。 しかし、本家slashdotのように、リンクされたせいでアクセスが集中しダウン(→slashdotted) というほどではないようだ。

しかし、このネタは「あれ、ちょっと少ないんじゃない」程度のことで、 本当に書きたかった(これから書くつもりだった)のは、

  • 日本発オープンソースとは
  • 政府によるオープンソース振興のあり方

などだったりする。前者については、八田さんのjapan.linux.comの記事で扱われてしまったので、あまり書く事もないかもしれないが。

_ 結婚披露宴

今日は教会のホールで知人の結婚披露宴だったのです。

会場で手持ちぶさたにしていたら「機械に強そう」という理由で(本当はそうでもないのですが)、 ビデオ撮影係に任命されてしまいました。 しかし、機械操作はともかく、ビデオ撮影の才能はないのです。自分たちの新婚旅行でも、 私が撮ったところは構図もフレーミングもダメダメで、画面が揺れまくっていたのでした。 妻が撮ったところの方がずっとよくて、旅行の後半はずっと彼女に任せっきりでした。 あれからずいぶん経ちましたが、改善されていると考える理由はないのですが。

撮影したビデオを確認する暇はありませんでしたが、 見てると船酔いしそうな画面でないことを祈るだけです。


2004年05月24日

_ [特許]モンサント、遺伝子組み換え作物特許訴訟で勝訴

先日話題にしたシュマイヤーシュマイザー訴訟の最高裁判決。

一審敗訴だと思っていたのだけど、二審も敗訴していて、この度最高裁判決が出たということ。

米農業バイオ大手モンサントが、同社開発の遺伝子組み換え作物の特許を侵害されたとしてカナダ農家を相手取って訴訟していた問題で、カナダ最高裁は21日、モンサント側の主張を支持する判決を下した。

えーと、これはどういうことだろうか。

いや、遺伝子組み替え作物に特許が成立するかどうかという命題だけなら(疑問は残るが)理解はできるが、 シュマイヤーさんのような悪意もなく、むしろ被害者と呼ぶべき人物が 「犠牲」になるというのはどういうことだろうか。

私は、絶対になにかが間違っていると思う。特許制度か、(カナダの)裁判制度か、それとも別のなにかが。

もちろんモンサントが多額の費用をかけて遺伝子組み替え作物を開発したので、 それを保護したいという動機は理解できる。が、その扱いを「間違い」、 飛散してしまった(組み替え作物を望まない立場からは「汚染されてしまった」)状況で 汚染被害者を訴え、強制するのはいかがなものか。

特許保護の立場の人による見解が聞きたい。

ちょうど今朝食卓にあったマーガリンがカナダ産(ということは、おそらくはモンサントの遺伝子組み替え菜種に「汚染」されているかもしれない)キャノーラ油から作られていたことは皮肉としかいいようがない。なんとなく口にできなかった。

追記:

KLさんから追加情報をいただいた。

詳細を読むとそれほど無茶苦茶ではない、ということか。まだ納得できない点はあるけど。

報道というのは全部伝えるのはそもそも不可能なのものなので、 あまりそれだけに頼って論評するのも問題だということも意味しているのかもしれない。

ところで、KLさんのツッコミには

特許のせいというより、有事の際の法律を立法者が整備してなかったのが、農家が大会社相手の裁判闘争に脅かされることになった主因じゃないでしょうか。

とあるのだが、これは興味深い。この「有事の際の法律」とは具体的にどのようなものを想定されているのだろうか。 日本でそれを整備することは可能なのだろうか。


2005年05月24日

_ 主夫2日目

結局、末娘は哺乳瓶からミルクを飲んでくれたのでなんとかなった。 2番目と3番目の子は母乳のみで、哺乳瓶からまったく飲んでくれなかったので、 末の子もそうだったらどうしようと心配していたのだが、 杞憂だったらしい。一日中機嫌がいいし、目は離せないけど、それほど手はかからない。

しかし、主夫とは忙しいものだ。こんな日に限って次女は陸上大会だとかでお弁当だとか言うし。 出来合いのオカズと卵焼きで、超簡単な弁当を用意して、持たせる。

それから子供達に朝食を用意して、 学校に送り出し、それから自分と赤ん坊の朝食を済ませると、 今度は病院へ。

末娘も妻と似たような症状なので、きっと同じ病気に感染しているだろうということで、 小児科につれていく。先生も「まあ、そうでしょう」と同意してくださって、 抗生剤を処方してくださる。混んでいることで有名な病院なのだが、 駐車場に入るのに戸惑った以外は予想外にスムーズに済んだ。 もっともその後薬局で薬をもらうのに40分も待たされたのは辛かった。 院外処方なんだから、もっと空いた別の薬局に行けばよかった。

午後は自宅作業ができるかな、と期待していたのだが、 さすがに乳児は手がかかる。ちっとも仕事できなかった。 届いたメールに目を通したら、それだけで時間が過ぎてしまった。

夕食を作る気力がなかったので、外食。今日は回転寿司。


2006年05月24日

_ Google、オープンソース開発支援プログラムの意義はどこに?

今年もGoogle Summer of Codeの季節がやってきた。 で、タイトルの記事は「単なるバラマキではないか」という批判。

まあ、それはそれで当たっていないとは言えないが、 ばらまいているのは私企業Googleのお金であり、税金ではないので ばらまかないよりはばらまいた方が良い。その上でより有効に活用する方向で考えていきたい。 生存率を高める方法とかね。

今年はRubyCentral Inc.もメンターに参加している。 当選者リストは[ruby-talk:194367]

Alexander Stephen Bradbury: Automated Wrapper Generation for Information Extraction
Mentor: Austin Ziegler

Gregory Brown: Ruby Reports
Mentor: David Pollak

Kevin Clark: mkmf for Rake
Mentor: Caleb Tennis

Robert Figueiredo: A Ruby Rule-based toolkit
Mentor: Kirk Haines

Benjamin Gorlick: Improved style and extendable interactive documentation system for Ruby and Rails
Mentor: James Edward Gray II

Florian Gross: ruby-breakpoint GUI client
Mentor: Patrick Hurley

Ilmari Heikkinen: Pure-Ruby OpenGL GUI widget system
Mentor: Ryan Leavengood

Jeffrey Hughes: Port Ruby to Symbian OS
Mentor: Dibya Prakash

Jason Morrison: Code Completion with Type Inference for Ruby Development Tools project
Mentor: Christopher Williams

Gabriele Renzi: New Administration subsystem for nitro
Mentor: Bryan Soto

どのくらいがものになるのか、楽しみである。Symbian OSとか「本当にできるのか」って感じだけど、もしかしたら、と思わせてくれる。

_ [OSS] ソースコードの公開と脆弱性問題との戦い

えーと、なんというか。

ソースコードの公開と脆弱性には関係がないし、 どちらかというと「オープンソース化して見つけてもらえて良かったね」というような気がする。

しかし、それよりなにより、「中小だから」と開き直ったように取れる態度はいかがなものか。

なぜこのような程度の脆弱性の対応ができていないのかと思われた読者もおられるだろう。だが、これが中小企業の実態なのではないだろうか。今回のような脆弱性といった問題は、大企業であれば事前に講習などを行い準備することも可能だろう。だが当社のような中小企業では、脆弱性について勉強する時間もお金もないのが現状なのである。

これが本心からなのかどうだかは知らないが、 下手な言い訳は、しない方が好感が持てる。

ところで、この「ながさきITモデル」(特許申請中?)だが、 CIOが全体設計を行い システムを小分けにして中小に発注することが肝になっているように思えるが、 これって設計者がよっぽどえらい人でないとDRY原則に反したシステムしかできないような。

また、「オープンソース」と言いながらCurlに依存してしまうところも あまりうれしくない。

まあ、Curlの選択については設計者のポリシーなのだろうから、 こちらが口出しできることではないのだが、 DRY原則の適用をいかにするのか、また、設計者の力量に大きく依存してしまう「モデル」を いかに昇華させていくのかが今後の課題のような気がする。


2007年05月24日

_ [Ruby] Headius: The Final Bugs

JRuby 1.0に向けて最終バグのリスト。

もう近いな。そういえばRubyKaigiには間に合わせると言ってたな。 この調子なら間に合うんじゃないだろうか。

_ [言語] The Programming and Management Blog >> PHP Interview questions from YAHOO

YAHOOの面接試験問題。

正直、言語そのものがどうかと感じるので、こんな問題解かされるような羽目には 陥りたくはないが、 NaClでも技術者選別に悩んでいるという事実がある以上、 もしかすると入社希望者には似たような(Ruby対象の)問題を出す必要が 将来出て来るのかもしれない。

_ ずっと君のターン - The World Is Mine

私が以前に語った「一部の技術者は深く「潜って」いき、最終的にはハードウェアか、OSか、言語に行き着く」という言葉から。

ハードウェアに向かう人というのは、土台になってる物質や物理法則が世界の根本だと感じてる人。

OSに向かう人は、世界を制度や仕組みが動かしてると思ってる人。

で、言語に向かう人は、世界を主に人と人とのコミュニケーションで捉えてる。

一般論として言えるかどうかはわからないけど、 これは非常に面白い捉え方だと思う。

_ [Ruby] SimpleConsole - Building Console Apps

なんかMVCのような雰囲気でコンソールアプリが作れるフレームワーク。

見かけは面白いけど、本当に実用になるのかな。 ちゃんと使ってみないことには判断できないな。

_ [Ruby] InfoQ: The Futures of Ruby Threading

Rubyのスレッド対応の未来について。

「継続ないじゃん」ということも書いてあるのだが、 ちょうどその日にささだくんが継続をサポートしてたりするところが笑える。

っていうか、継続サポート、マジですか?

やるなあ。

_ [言語] Towards the best collection API

最良のコレクションAPIについて。

実はまだ読んでない。ライブラリデザインの参考にしたいと思っている。

_ 平成19年度U-20プログラミング・コンテスト

募集開始。今年はどんなのが来るのかなあ。楽しみだなあ。

受け入れ側としても、昨年以上に応募者にも楽しんでもらえるような企画をしたいな、 と話している。ソフトウェア開発(特に楽しい部分)が伝わるような「なにか」ができるといいな。


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