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Matzにっき


2006年10月13日 [長年日記]

_ Multitasking is inefficient

人間にとってマルチタスクを行うことは効率が悪い、という話。

っていうか、人間の意識はシングルタスクなので(無意識下は並行実行らしい) コンテキストスイッチのコストが高い上に、 簡単にマルチコアにできる方法が発見されていない以上、 効率が下がるのはほぼ自明なのでは。実験で確認したという事実が重要なのかな。

もっとも、人間はわりと簡単に入手できるリソースなので、 たくさん持ってくれば効率良くマルチタスクできる...と言いたいところなのだが、 「遅れているプロジェクトに人員をつぎ込むとさらに遅れる」というルールがある通り、 マルチコアにしても問題はつきまとうのである。

これはCPUでも言えることだ。マルチコアにしても早くならない問題の方が多い。 今後のプログラミングに対する課題は、どうやってマルチコアを有効活用するかだろうな。 たぶん、人間の思考のように表層ではシングルタスク、下層ではパラレルというのが 良いのだろう。データのベクトル化とか、その辺かな。

もしかすると将来、APLのような行列指向言語が復権するかもしれない。

_ データ圧縮の昔話

奥村先生による昔話。

私は当時「パソコン通信」に参加していなかったので、 伝聞でしか知らない話がたくさんあった。 当事者の話はいつも面白い。

ところで、最近圧縮特許の話をあまり聞かなくなったけど、 それはただ単に話題になっていないだけなんだろうか。


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