«前の日記(2006年04月27日) 最新 次の日記(2006年04月29日)» 編集

Matzにっき


2006年04月28日 [長年日記]

_ [Ruby] Ruby on Railsトレーニングプログラム

最初は「30分ほどRubyの紹介とイントロを」という依頼だったのだが、 「Railsの概要も含めて1時間」という依頼になり、 ついに「午前中2時間」という話になった。

だんだん分量が増えていくのであった。ぐすん。

スライドを準備しないといけないし、 なんでも講師はスーツ装備だそうで、 セミナー参加者は 世にも珍しいまつもとのサラリーマン・コスプレが目撃できることになりそう。

実はまだ若干の空きがあるみたい。 とはいえ、本番まで時間はないし、GWになっちゃうし、 金額は高いし、駆け込み参加者はいないだろうな。

_ [Ruby] Gosling on Ruby

Don Box氏による『「Javaの生みの親」に聞く「AJAX、LAMP、Ruby on Rails」』への反応。 ちなみに私の反応はこちら

From where I sit, Ruby has the language thought leadership position and is the competitor I hope AndersH is losing the most sleep over nowadays.

The fact that the "father of Java" is so unconcerned makes me wonder if Schwartz's first act as the grand poobah at Sun should be to hire Matz?

(超訳)

私から見れば、Rubyは言語アイディアの先端を行ってて、AndersHが(心配で)夜も寝られないくらいだといいなと思っている。

「Javaの父」がそんなに関心がないってことは、SchwartzがCEOになって最初になすべき仕事はMatzを雇うことなんじゃないかって思っちゃうよ

ありがたいことだ。 もっとも、Sunに雇われてる間に勢いを失った言語(SelfとかTclとか)のことを 考えると、たとえオファーがあっても素直に「うん」とは言えないかもしれない。 海外(欧米)に住むのが長年の夢である妻は大喜びするかもしれないけどね。

ところで、Wikipediaに「Yukihiro Matsumoto」なんてエントリがあるなんて知らなかったよ。 うわっ、NaClのエントリもある。

_ ITmedia エンタープライズ:オープンソースの輝ける未来は地方自治体がスクリプト言語を担ぐこと−OSDL平野氏

ちょうど我々が島根県や松江市とやろうとしていることと 方向性が同じで驚愕してしまう。偶然の一致か。

地方自治体はスクリプト言語を使った産業を速やかに支援すべきではないかと思います。もし、需要から考えて供給が極端に不足している、XML、 Javaスクリプト、PHPやPhythonをまともに扱える技術者が100人、いや、10人いるような地場企業なら、それがどの県の企業であっても、確実に世界中が注目します。Ajaxやオープンソース版.NETであるMonoの技術者が何人かいただけで、MicrosoftやGoogleですら目を向けるでしょう。優秀な技術者を世界中から求めている企業にとって、その場所が青森県であるか鹿児島県であるかなどはさして問題ではないのです。宮城県に PHPの優秀な技術者を多数抱える地場企業があれば、楽天が野球以外で目を向けますよ(笑)。

スクリプト言語が今後向かう道、それをWeb 2.0のような切り口で語るのではなく、オープンソースまたはオープンソースアーキテクチャーといった切り口で考えると、オープンソースの輝ける未来は地方自治体がスクリプト言語を担ぐことです、と言いたいですよ。

この記事を見るかぎりでは島根県とかRubyとかは一言も出てこないから、 むしろPHPやPythonを念頭に置いていて、方向性が重なったということなんだろうなあ。

まあ、第三者が独立に同じことを思いつくのは 良いアイディアである証拠である...といいなあ。


«前の日記(2006年04月27日) 最新 次の日記(2006年04月29日)» 編集