オープンソースソフトウェアを開発しているとする。 公開するとなればライセンスを決める必要がある。 個人的にはGPLを選ぶだろう。 FSFやStallman個人に賛同しているというよりも、 Linusのように実利的な理由からだ。自分の開発した「フリーソフトウェア」がいつまでも「フリーソフトウェア」でありつづけてほしいという望みは、正当なものだと感じる。
しかし、そのソフトウェアがライブラリ的使われかたをするものだと話は別だ。 GPLだとそのライブラリをリンクしたソフトウェアも派生物と見なされるので、 全体にGPLが適用されることになる。 リンクするソフトウェアがGPLと互換性のないライセンスのものだと面倒なことになる。 ライセンスという非技術的な理由でライブラリが使えないのは、 開発者・利用者双方にとって不幸だ。どうせならできるだけ広い範囲の人々に使ってもらいたいというのが人情だし、 プレゼンスの向上などの理由でもその方が望ましい。
LGPLにはそのような制約はないので、たとえばソースを公開しない 独占的ソフトウェアであってもリンクすることはできる。 これは利用者の範囲を広げるためにはありがたい。 しかし、再リンクを許すための条項(6条)がかなり面倒である。
いっそ、LGPLではなく純粋なGPLに「ただし、リンクされたソフトウェアは派生物と見なさない」という例外条項を付けるのはどうか。これはGPLではないが、GPLよりも「より緩い条件」なのでGPLとの互換性は維持される。ライブラリソフトウェアそのものに将来に渡ってGPLが適用されることを保証したいだけなので、リンクするソフトウェアに対してLGPL 6項のような要求を行わない。なんとなく理想的な気が。
ただ、ライセンス問題はややこしいので、 上記のような例外条項が本当に意味を持つのか確信を持つことはできない。
結局、BSDライセンスを選んでしまう、私たちであった。
追記
野首さんから
以前に新部さん、ひろのぶさん、小島さんととも似た話をしたのですが、FSF的自由とプロプライエタリとのいいとこどりは困難だ、というのが結論になってしまいました。
というツッコミをいただいた。ツッコミ欄で返答したのだが、重要な点なので再掲しておく。
私は別に「FSF的自由とプロプライエタリとのいいとこどり」をしたいわけではないつもりです。立場としては、自分(たち)の書いたソースコードについてはいつまでも「FSF的自由」を適用したいが、それをリンクした他人のコードにはそれを要求したくない、というものです。ですから自分たちの「コードを守りたい」気持ちはあるのでBSDライセンスだと不満が残るのです。
それにしても「リンク例外条項付きGPL」は結構いいアイディアのような気がしてきたぞ。