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Matzにっき


2005年06月01日 [長年日記]

_ 情報処理学会 第54回プログラミング研究会

発表。

  • 11:00-11:45
    Deductive systemによるCプログラムのポインタ解析
    千代 英一郎(日立製作所)

    最適化のためポインタ解析を効率よく、かつシンプルに実装するという話。 deductiveを関係代数を使って実装するというのが素敵。 なんかすっごい頭よさそうに見える。

  • 11:45-12:30 オブジェクト指向スクリプト言語に適したごみ集め手法
    ○松本 行弘(ネットワーク応用通信研究所、島根大)、縄手 雅彦(島根大)

    私の発表。漢字の名前はひさしぶり。なんか、前の発表に比べると異様にわかりやすくて 申し訳ない。実際の発表は、write barrierによる1bit reference count(というかsharing flag)を使って、 スレッドローカルGCを実装するという話。既存の技術を組み合わせただけなのだが、 全体としては新規性がある(と信じたい)。 ただ、ベースとなった技術の用語をそのまま持ってきたので、 世代別GCでないのに「世代別」と言ったり、 リファレンスカウント法でないのに「リファレンスカウント」と言ったり、 で、下手にGCに知識のある人には替えって分かり難かったかも。

    まあ、かなり有利なケースでもGC時間が25%しか削減されないってことで、 期待した性能は出ていない。もうちょっとなんとかならないものか。

  • 12:30-13:30 昼休み

    ちょうど来てくださっていた、恩師、佐々先生とお話をする。 お会いするのは15年近くぶりではないかと。 全然変わっておられない。

    久野先生と笹田くんとで昼食。 久野先生とはfjなどでのネット上のつきあいは私が学生のころからなので、 もう15年以上になるのだが、実際にお会いしたのはまだ二度目という。 静的型や動的型など面白げな話題について話す。

  • 13:30-14:15
    関数型ソフトウェア部品の適用履歴を用いたスクリプティング支援環境
    中山 健、○谷沢 智史、Cheng Jachong、野中 貴俊、小林 良岳、前川 守(電通大)

    正直、よくわからなかった。非協調状態での部品の流通と評価という話のようなのだが、 その割には「部品」に加えられる制約が厳しいような。 あるいは実態と理想との解離が大きいのかもしれない。

  • 14:15-15:00
    美術・工芸教育に適したプログラミング言語
    ○鍛治 秀紀(多摩美大、筑波大)、久野 靖(筑波大)

    久野先生のところからの発表。久野さん自身はずっと昔から静的型派なのだが、 「学生はみな動的型の言語を作るんだよねえ」とのことだった。これもそのひとつ。 発表者は多摩美の講師。日本語プログラミング言語とそのIDEを作ったら、 学生にウケたという話。 が、文法がよかったのか、日本語がよかったのか、あるいはIDEがよかったのか、 その辺がはっきりしないところが惜しい。言語の研究は難しいねえ。 私は論文は実装方面に限定することで逃げているんだけど。

    発表後も集まってうだうだと話しているうちに時間切れ。

今日は16:40の飛行機なのでここであきらめて松江に帰る。

大変、ためになった。


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