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Matzにっき


2005年05月25日 [長年日記]

_ 主夫3日目

子供を起こして、学校に送り出す。 上の娘は中学生で手がかからないが、 小学生はなかなか手がかかる。

長男は今日学校でやりたくないことがあると言ってぐずったあげく、 集団登校に参加できなかった。なんとかなだめて学校に連れていく。 次女は次女で忘れ物をしているので、それを届けに再び学校に。 なんでこんなに手がかかるんだ。

昼食が終わったころ、会社から電話。 ちょっと話し合いが必要なことがあるようだ。 しょうがないので、赤ん坊を連れてオフィスへ。

打ち合わせを終えてうちに帰ったら、すっかり疲れきっていて、 赤ん坊と一緒にうたた寝してしまう。

慌てて夕食を作り、食後に全員を連れて妻に面会。 今日もまた慌ただしい一日であった。

むかしから「なんでもできる人になりたい」と思ってきていて、 ようやく「プログラマの偉い人」くらいにはなれたんだが、 今回の経験で「主夫もできるプログラマ」にランクアップしたかも。

_ IPAX 2005 - 今語られるスーパークリエータの開発のきっかけ

一言に「未踏の人」といってもさまざまなわけだが、 その辺を分析していて面白い。

まず「そもそもなぜ未踏ソフトウェア事業に応募しようと思ったのか?」という点についてだが、これについては人それぞれの意見が出た。

...

ただ多くの開発者に共通するのが「自分が欲しいソフトを作る」という点。

...

「ソフト開発に必要なスキルはどこで身につけたか?」という質問に対しても、浜田氏や登氏など「開発の過程やそれ以前の段階(研究・趣味などを通じて)で独学で身につけた」という答えが一般的で、平林氏のように「元々職業プログラマだった」というのはむしろ少数派。

ま、いろんな人がいるのが面白いところだし、それができている点が「未踏」の最大の成功点だと思っている。

未踏のメリットとしてあげられた

未踏のメリットとして開発者の多くが挙げたのが「開発者同士の交流」。未踏ソフトウェア事業では各開発者が自らの成果を発表する合同の中間報告会や、発表会が開かれることが多いが、その席上において他の開発者の報告を聞いたり、その後の懇親会等で開発者同士が交流したりという中で、いろいろと有益なアイデアを得られることが多いという。

というのはよくわかる気がする。未踏に選ばれるような人間はどこかしら似たようなところがあるので、 交流することで有益なアイディアが出てくることってのはよくありそうだ。 もっとも、未踏でなくても、学会やオープンソースコミュニティでもそのようなことは起きるので、 これが「最大のメリット」とされちゃうとちょっと(だいぶ?)さみしい気がする。

できることなら「他の人は本気にしてくれなかったアイディアに投資してくれる」ということを メリットとしてあげてほしかったなあ。

しかし、デメリットとしてあげられた点はちょっと意外だった。

一方で問題点として挙がったのが、まず「期間が短い」割に「すぐ商品化できるものを求める」という点。渡辺氏は「未踏ソフトウェア事業は開発期間が短く、そこで作ったものをそのまま世に出せるところまで持って行くのが難しいため、未踏の期間が終わるとせっかくの技術が埋もれてしまう」と述べ、今後は「ポスト未踏」が必要だと語った。

期間が短いのはわからないでもない。未踏はスタートアップを支援する仕組みなので、 継続的な開発には向かない点があるのは確かだ。意外なのは「すぐ商品化できるものを求める」こと。 私は初年度の未踏だったせいか、そんな雰囲気は余り感じなかった。 まああれからIPAの独立法人化もあったし、やや方向性に変化があったのだろうか。

未踏の仕組みは「すぐ商品化できるもの」の育成には向かないと思うのだが。

「ポスト未踏」が必要か、というとよくわからない。私の中の未踏のイメージでは、 ちょっと違うもののような気がする。ま、おんなじ未踏でもビジネス色の強いPMやプロジェクトも多いし、 逆にオープンソース風味のプロジェクトも多い。前者と後者では感じかたも違うかも。

個人的には前者と後者できっちり分けちゃった方が良いと思うけどね。 前者は「未来ベンチャー支援」みたいな方向で、 後者は「技術発掘(or 技術者発掘)」を目指すということで。


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