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Matzにっき


2005年03月31日 山口3日目 [長年日記]

_ [言語] Five-minute Multimethods in Python

Pythonに最近加えられたfunction annotationを使ってmultimethodを実現する、と言う話。

面白い。

function annotationは「@」という記号を使うし、 「あまりPythonらしくない」という印象だったが、 結構使いでがあるようだ。

Rubyがmultimethodを実現することはないだろうなあ。 上手に実現しないとduck typingを妨げかねないしなあ。

_ [OSS] 住商情報システム、VAリナックス子会社化でオープンソース分野を強化

VAリナックスがビジネスとして魅力的なことを意味しているのだと思う。 住商情報システムといえば「とんがった技術」に注目する会社だ。 Curlとか。未踏ユースのバックアップもしているはず。

ただ、

住商情報システムでは、オープンソースを活用して構築、運用する案件の目標受注金額を、2005年度20億円、2007年度100億円とする。

という大きな期待にVAリナックスの運営方針が曲げられたりしないことを切に祈る。

_ [OSS] ヒューメント、Firebirdの有料サポートサービスを開始

ヒューメントは4月1日からFirebirdの有料サポートサービスを提供することを発表した。3種類のメニューが用意され、価格は3インシデントで21万円から。

オープンソースビジネスは積極的に応援したい。 でも、「いちインシデントななまんえん」ですか。

データベースだとあり得るのかな。Rubyじゃ絶対に無理だな。

Royの社会的実験

ふたたびThoughtWorksについて。 ThoughtWorksは以下のような「通説」に反対する「社会的実験」なのだそうだ。

  • 有能な人材しかいない会社なんて無理。有能な人材が利用する平凡な人材(less able people)もミックスしなきゃだめ。
  • 頭の良い奴らは金儲けに興味がない。だから頭の良い奴ばかりの会社は生き残れない。
  • 人のいい奴が損をするような厳しい世界だ。何か理由でもなけりゃ、従業員や顧客にいい顔する余裕なんてない。
  • 有能な人材はみんなとうまくやっていけない。理屈ばかりこねて、ジコチューだから。
  • 大企業には強力なマネジメントの仕組みが必要。
  • 頭の良い奴らはB級学生に管理させなきゃいけない。なぜなら、頭の良い奴らは理想主義に走り過ぎて、実際の判断をくだせるほど、現実的になれないからだ。それができるのは、貪欲なB級の学生だ。
  • 長期的にやることはうまくいかない。
  • 会社の財務と業務の内容を内部に明らかにすることは悪いことだ。外部になんて、とんでもない。それにどうせ会社が大きくなったら、そんなことは続けられない。
  • 弱点を公開してはいけない。外部の人間には特に。
  • 国際企業になるということは、弱い国の人々を利用するということだ。
  • 現場の人間に会社を脅かすような権限を与えてはいけない。
  • 文化は二の次(長持ちしない)。優れたビジネス モデルこそが必要。

うーん、とんがっている。うち(netlab.jp)はここまで前衛的ではないなあ。 特に最初のもの(平凡な人材)について。もっともうちの場合は、

  • 有能な人材利用する平凡な人材(less able people)もミックスしなきゃだめ。

だけど。これは、おごちゃんの意向でもある。彼の主張は

  • 会社は定食
  • ハッカーはおかず
  • とんかつだけではとんかつ定食にならない、ごはんも味噌汁もあって初めて定食だ

というものだ。だからいろんな人を取ろうとするわけ。

ThoughtWorksの人は(主にJAOOで)何人にも会ったことがあるけど、 みんな優秀そうで、またハッカー魂を理解している人のように見えた。 今後もThoughtWorksには注目していきたい。

_ 松江市玉湯町

山口に来ている間に、八束郡玉湯町は合併して松江市玉湯町になった。 これで今日から松江市民となる。税金が上がりそうなのは嫌だなあ。


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