少々古い話になるが、SophosがActiveStateを買収したという話があった。
リンク先のインターネットウォッチの記事を引用すると
英Sophosはカナダのスパム対策ソフトベンダーActiveState社を買収したと発表した。買収総額は2,300万米ドルに相当するという。
Sophosはウイルス対策ソフトベンダーだが、スパム被害が拡大する中で、企業など法人市場でウイルスやスパム、不法アクセスなどセキュリティに関する統合的ソリューションへのニーズが高まっている現状を受けて、ActiveStateの買収を決定した。ActiveStateのスパム対策の技術やノウハウを得ることで、よりセキュリティソリューションを充実させるのが目的だという。
と、まあ、事情を知らなければ「ウィルス対策ベンダーがスパム対策ソフトベンダーを買収した」という普通のニュースに読める。
しかし、実際にはもう少々裏がある。AcriveStateは、 元々はスパム対策ソフトベンダーでも何でもなくて、Windows版Perlの開発とPerlサポートを目的として、 オライリーとマイクロソフトが出資して1997年に創立された会社である。 その後、対象をPython, Tclにも広げて、KomodoというIDEを提供していたりする。 つまり、れっきとした「言語ビジネス」カンパニーなのだ。
ところが、正直売り上げはいまいちだったらしい。 去年くらいからオープンソースでないスパム対策ソフトを販売しはじめ、 とうとうそれがきっかけで身売りする破目になってしまったということだ。
まあ、ソフトウェア開発関連のビジネスも継続するということで、 ActiveStateそのものがなくなってしまうよりは百万倍良いのだが、 それでも、「やはり言語ビジネスは死屍累々」の一例が歴史にきざまれた、との思いが強い。
ActiveStateには知り合いが何人もいるので、彼らが安泰であることを願うものだ。
なお、japan.linux.comの記事は さすがにActiveStateのことをもうちょっと押さえている。
さて、これはActiveStateはオープンソースビジネスカンパニーでもあったので、 オープンソースビジネスの難しさも表現しているかもしれない。オープンソースビジネスはまだまだ脆弱だ。 実際、なかなか金にならない。NTTコムウェアの長野氏が語るように、 「システムの価格が下がっても、原価が下がるため、利益率は下がらない」とはいかない場合も多いのだ。
もっとも、これはオープンソースビジネスが特に脆弱である、というわけではなくて、 ソフトウェアビジネス全般が脆弱だという意味かもしれない。