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Matzにっき


2003年07月26日 [長年日記]

_ [言語]Water

CNET Japanの記事によれば、 アメリカの新興企業ClearMethodsが XML処理用プログラミング言語である「Water」を発表したとある。 正確にはWaterの新処理系Steam*1が発表されたということのようだ。

昨年、LL2に参加した時にClearMethodsの人たちに会った。Waterは

  • XMLベースの文法
  • オブジェクト指向
  • 拡張可能な言語仕様

が素晴らしく、XMLプログラマはXMLの文法だけですべてが処理できる、のだそうだ。 書籍の出版も決まっているそうだ(Addisonだったかな。もう出た頃か)。

私が会った人は(もう名前忘れちゃったけど、たぶんCEOのMichael Plushc)、 もう典型的なアメリカのベンチャー系ビジネスマンって印象で、 Rubyの開発者ってことでつかまっちゃったんだけど、 「うちの言語は素晴らしい」とか 「日本でビジネス展開したいから(NaClと)提携したい」とか、 「でなかったら、誰か紹介してくれ」とか、 押しが強くて勘弁してって感じ。

なんとなく「Xiとどこが違うの」などと思ったけど、なにも言わないでいた。

で、プログラミング言語としてのWaterについてだが、正直あまり関心が持てなかった。 理由は、なにより「XML文法の言語が正しいアプローチとは思えない」という点が大きい。

もちろん、eRubyの嬉しさから類推して、

  • XMLの中に動的な処理を埋め込める
  • XMLから浮き上がらない

言語が嬉しい局面はあるだろうなとは思うが、

  • そういう局面は限定的
  • 逆にロジックがXMLの中に埋没しそう
  • なによりXML文法ではコードが気軽に書けない

ということで魅力を感じない。

あと、

  • フリーの処理系がないので簡単に試せない
  • 45日間のお試し処理系はあるけどそれでは十分でない
  • 処理系はJava Runtimeがないと動かない

というような点も私としては障害になる。

結局、LL2でのDan Sugalski(Parrot開発者)の発言、

フリーの処理系のない言語はだめ。
LL1で発表があったCurlのこと、今年は聞かないじゃないか。

に私も同意してしまう(Curlがどうなったかよくわからないんだけど)。

まあ、考えてみれば、言語関係のビジネスは死屍累々で、 生き残ってるのはマイクロソフトとボーランドだけ(いや、ボーランドはもう言語屋じゃないか)。 よっぽどのことがない限り、あるいはよっぽどのことがあっても、手を出すもんじゃない。

教訓: 言語はビジネスにならない

教訓2: 言語設計者の生活は厳しい

*1 しかし、Steamだからといって温泉マークってのはどうかと思う

_ [機械]CD-ROMドライブ

ひさしぶりにCD-ROMを読もうと思ってドライブに入れるとディスクの回転が途中で止まってしまう。 どうやらドライブがおかしいらしい。故障か。

まだ1年はたっていないと思うのだが、保証書あったかな。


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