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Matzにっき


2003年06月14日 [長年日記]

_ [OSS]日本語ライセンス

気持ちは分かります。多くの人は英語なんか普段使いませんし。

ライセンスの非公式日本語訳の問題は、自分のソフトウェアのライセンスよりも 既存のソフトウェアのライセンスの解釈に用いる場合ではないかと思います。 誤訳があって他人の権利を間違って侵害してしまった場合に責任が取れないということですよね。

自分のライセンスに誰かが日本語訳したGPLやBSDライセンスをつけることの問題は、 それよりは少ないと思います。たとえば日本語・英語の両方を添付して、 翻訳間で矛盾があった場合には英語が優先とか書いとくと、 もしかして苦労が少ないかもしれませんね。

日本語ネーティブのオープンソースライセンスについては、 誰がコストを負担するかですね。 本当に安心して(?)裁判に耐えられるようなライセンス(というものが本当にありえるとして) を作るためにはきちんと弁護士に相談して契約文書として作る必要があると思いますが、 それには個人では負担したくないくらいのコストがかかるでしょう。 さらにオープンソースライセンスについて不安なく相談できる弁護士が日本に何人いるのか。

やはりその辺をきちんとするコストを負担できる中間層の育成が必要なのでしょうか。

Open Source Group Japanにて日本語訳を集める とうのは面白い考えですね。誰に頼めばいいんだろう。鵜飼さん?

フリーソフトウェアのライセンスは権利者の意志の表明の要素が強いと思います。 そもそも実際に裁判でどのくらい有効かさえよくわからないというのが正直なところではないでしょうか。

となると、

  • 現状のまま。起きるかどうかわからない裁判に脅えるのは無意味。
  • 現状のまま。契約文書の作成にかならず弁護士が必要なわけではない。
  • 将来の不安を解消するため積極的に弁護士に相談する(30分5,000円?)。

などいろいろなレベルが考えられるわけですが、どうしたもんでしょうね。 起きてもない裁判の不安をあまり強調するのは 一種のFUD効果を持つわけですし。

p.s.

今のBSDライセンスのことを「修正BSDライセンス」と呼ぶのは一般的なんですか。 私は逆に古いのを「宣伝条項付きBSDライセンス」と呼んでました。

_ [news][OSS]洲本市がオープンソース開発支援

日経ITproから。しかし本文を読むと

兵庫県洲本市は2003年7月中旬に、オープンソース・ソフトを使ったシステムの開発支援プロジェクトを開始する。プロジェクト名は「OSCA(Open Source Community in Awaji)プロジェクト」。

ということで、こっちが本当なら「オープンソースソフトを使ったシステムの開発支援」 っていうのは「オープンソース開発支援」という単語から想起するものとはだいぶ違うような気がする。

いや、あらかじめ断っておくと私はこのことを非難するつもりはない*1。 彼らはいわゆる「中間層」になるのだから、私としては拡大はむしろ歓迎する。

あとは、このOSCAなるプロジェクトが、単にオープンソースソフトウェアを利用するだけでなく、 なんらかの形で貢献できるところまで配慮して発展していくことを強く望むものだ。

*1 Stallmanなら「フリーソフトウェアのただ乗り」と批判しそうだけど

_ [news]PHPでもJava開発を

ZDnet Japanより。そのうちRubyとかもなにかしたいって話になるのかしら。 そういう話がくれば光栄だけど。

で、注目したのはそういうことではなく、非常に些細なこと。

新しい規格はいいアイデアだとするのは、Pythonスクリプティング言語の作者であるホイド・ファン・ロスュム氏。

え、誰?

あ、「Guido van Rossum」ってのはオランダ語では「ホイド・ファン・ロスュム」と発音するんですか? 彼は今アメリカにいるし、みんな「グイード・バン・ロッサム」みたいに呼んでたのでそう思いこんでました。

かくのようにカタカナ表記は難しいということで。

_ [家族]プール

家族を連れて少し離れた温泉プールに遊びに行く。

2時間ほどつかっていた(泳いだとは言わない)のだが、結構くたびれた。 やはり運動不足で体力が落ちている。 しかし、少しは運動した気になったし、子供たちは満足したようだし、 温泉につかって気持ちがよかったし、なんか充実した気がする。


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