月曜日リリースの約束を守ろうと思っているのだが、今になってもバグレポートが来る。
もちろんリリース前にバグが減るのはありがたいのだが、これがリリース後にもどんどん見つかる 予兆ではないかと思えてしかたがない。だいたいリリースにはイヤな思い出がたくさんあるし。
不安だ。
なんとなく北斗七星の隣に小さく輝く星を見たような気がする。
いや、それは違う、という話はまた今度。
いや、初出社は金曜日だったような。
挨拶、昼食、仕事のアサイン、打ち合わせ、情報交換と忙しそうだ。 入社そうそう結構ヘビーな仕事をアサインしたような気がするが、 なに、かずひこくんなら大丈夫。
ライトニング・トークの上手なやり方。 LL Weekendでライトニング・トークが決まっている人は要チェック。
要点は
重要な点を最初に
下手したら背景の説明だけで終わってしまう。結論から先に。
詳細は重要でない
10分後にはだれも詳細を覚えていない。
スライドを用意する
そらで話すのは難しい。聴衆にもつらい。適切なツールでスライドを。練習しとけ。
連絡先を最後に置かない
全部のスライドに入れるのはどうか。
だけど自分で読んだほうがいいと思う。
ホテルからTri-met2駅分歩いて会場へ。 本当は朝8時半からはじまるチュートリアルに最初から参加しようと思ってたのだが、 とても起きられなかった。結局会場に着いたのは10時頃。
会場でDave Thomas, Rich Kilmer, Jim Weirichに会った。 昨日のRubyのチュートリアルは盛況だったようだ。 David Heinemeier Hanssonの「Ruby on Rails: Enjoying the Ride of Programming」は立ち見が出るほどで、 今回のチュートリアルの中で一番人気だったようだ。おそるべしRailsパワー。
その他にも書籍即売会会場でProgramming Rubyは月曜の夜だけで売り切れてしまったとかで、 US(海外と一般化しても良いのだろうか)でブレークしつつあるのが感じられる。 Dave Thomasにも「今年、Rubyの年になるぞ」と言われて恐縮する。 でも、どっちかっていうと「Railの年」じゃないかなあ。
IronPythonのチュートリアルに出る。
.NETプラットフォームは動的言語に向かないと言われていて、 それを証明しようと思ったら、不幸にも動的言語であるPythonが高速に動作してしまった(C言語で記述されたオリジナルPythonの1.7倍の性能)、という話。その他にも.NETと連携していろいろなことができます、とか、 .NETのおかげで手軽に高速に実装できた、とか。
後は高速化のためのTipとして以下のものをあげていた(配布資料から引用)。
要するに良く実行されるものはカリカリにチューンするが、 たまにしか実行されないものは遅くても構わないので完全に動的に実装する。 その割り切りによって十分高速に実行できる、というのが主張だ。
もっとも、彼らが1.7倍(最新版では1.8倍)高速であることを試したPystoneは
ので、実際のアプリケーションではまた違った挙動を示すかもしれない。
Rich KilmerからNicolas Cannasseを紹介してもらう。 彼はFlash Action ScriptコンパイラであるMTASCの作者なのだが、最近はNekoというVMを開発中なのだそうだ。
このVMはわりと高レベルな命令セットを持つもので、まだJITとかはないが高速なのだそうだ。 実際、IronPythonのセッション中に「(IronPython 0.9ではCPython 2.4の1.8倍だという)PystoneをNekoに移植してベンチマークしたら、3倍の性能が出た」とうれしそうにしていた。
正直、彼のフランスなまりの英語はヒアリングが難しいのだが、 日本人のガールフレンドがいるということで、突然流暢な日本語で「次、どこにいこうか」とか言うので びっくりする。
ということで、やはりNekoは日本語の「猫」から来ているそうだ。みんな「にこー」と発音していたけど。 最初、Nickelのことかと思ったよ。
Nekoは現在中間言語(ほとんど高級言語だけど)のコンパイラとバイトコードエンジンからなっており、 コンパイラの方はOCamlで実装されている。フランス人ハッカーはどうしてみんな関数型言語(特にOCaml)が好きなんだろう。
昼食。Dave Thomas, Rich Kilmer, Jim Weirich, Glenn Vanderburg, Nicolas Cannasseの面子で、 RedRobinというハンバーガーショップへ。ハンバーガーといってもアメリカはスケールが違う。 日本のマクドナルドやモスバーガーで見掛けるようなハンバーガーの数倍の大きさがある。 食べたら夕食まで食べられなくなってしまった。
追記
入口で席が空くのを待っている間、Dave Thomasから「今度のデジカメはどんなのだ」と尋ねられる。 「?」という顔をしていると「だって毎回デジカメが違うじゃないか」とのこと。 そういえば、最初のRubyConfではRICOH DC-7を、次のではCASIO Exilim M2を持っていってたような。 そんな細かいことまで覚えてるのね。
で、ちょうど持っていたNIKON COOLPIX 5200を見せたら、 「ぜんぜん小さくないじゃないか」と不満そう。なにを期待しているのだ。 やっぱCASIO EX-S500を買っていくべきだったか。
なんてね、そんなに頻繁に買い替えるのは大蔵大臣の許しが出そうにない。
明日からは通常のセッションが始まり、見たいものが目白押しなので、 今日のうちにおみやげを買おうということでポートランド中心街に出かける。 MAXに乗ればすぐだ。
で、結局家族のためにDiscovery Channel Storeで玩具やらアクセサリーキットやらを買い込む。
火曜の夜のイベント。Ruby関係者とおしゃべりしていてちょっと遅刻していったら、 いきなりDHHの名前が呼ばれる。Google/O'Reilly's Best Hacker of the Year Award受賞だそうだ。 おめでとう。
そういえばDHHと最初に挨拶したときに「デンマークで会ったよね」と言われた。 確かに顔に見覚えがある。たぶん2年前に2回目にJAOOに参加したときにレセプションかどこかで 少し話をしたような気がする。あのときは確かRubyは使ってなかったと思うけど。
ま、とにかくRuby陣営からBest Hackerを出せるということは光栄なことだろう。
その後、Larry Wallの「State of the Onion」。このタイトルで何回目の話だろう。 今回はお子さんも連れてきていて(二人連れてきていたようだ。4人のお子さんのうち何番目かは不明)、 お子さんの作ったカードゲームをベースに話をしていた。
それからPaul Grahamの話。 仕事ってのは相当な割合の「無駄に見えること」から成り立っていて、 でもそれを正面切って認めることができないでいた(遊んでることになっちゃうから)。 オープンソースやブログは、その無駄に対する肯定を含んでいるから重要だ。 とかいうような話。
で、ここで中座してしまった。そろそろ木曜日のスライドの準備が気になるしね。 ホテルに帰って、テレビを見ながらスライド書き。
テレビで見た番組は
日本のアニメが多いのは前からだが、ますます増えた気がする。
「Forgotten」はなかなか面白かった。冷静に考えるとかなりあちこちおかしいんだけど、 見ている最中はそれは気にならなかった。 もうちょっと穴がないストーリー構成にできたら名作になったような。
Ruby関連本の売り上げがとうとうPerlを越えたという話。
あと、JavaScript、C#は伸びている。Java, PHP, Pythonは停滞。 これらは「安定してる」と読み取るべきかも。
Rails効果恐るべし。が、原作者はあんまり売り上げの恩恵は浴してないな。 自分で本を書けよってことなのかもしれない。
でもなあ、本を書くのってすごい大変なんだよなあ。 特に書き下ろしは。そんな暇があったら開発してたいし。
あるいはPayPalやメルマネで寄付を受けるとか。 でも「乞食呼ばわり」はされたくない。
良いことは起きる(起きて欲しい)、悪いことは起こらない(起こらないで欲しい) と思うのは、人間の性だろうか。
「自分にとって都合の悪い情報を無視したり,過小評価してしまう人の特性」を「正常化の偏見(normalcy bias)」と呼ぶそうだ。
講演では具体例の一つとして,交通事故と宝くじのそれぞれに対して抱く,期待(不安)の違いが挙げられた。交通事故に遭って死亡する確率は,宝くじの1 等に当選するより高い。にもかかわらず,会社からの帰りに車にはねられると考えている人はほとんどいない。一方で,宝くじには当選を期待して,多くの人々が人気の売り場に行列を作る。
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「もし大地震が起きたら,どのように対応するか」と尋ねると,「机の下に避難する」「建物の外に避難する」「瓦礫の下敷きになっている人を助ける」---といった答えばかりで,自分が被害に遭うことを想定した答えは,一切ないという。
プログラマの見積もりがいつも甘いのも同じ心理かもしれない。
今年のOSCONにおけるHadoopのプレゼンビデオ。
HadoopはGoogleのMap-Reduce相当の 分散コンピューティング環境。Javaで実装されている。
それそのものも興味深いソフトウェアであるが、 シークは遅いと強調している点が印象的であった。 データ量が大きくなってくると全体の挙動が小さいスケールとは 異なってくるというのは、物理と同じだ。っていうか、ディスクのシークってのは 物理的問題か。
増井さんのインタビュー。 こだわりが垣間見えて面白い。
そういえば、私は椅子や(物理的な)キーボードにはこだわらないなあ。 キー配列や使うソフトウェアには(必要以上に)こだわるのに。
IT業界のプロジェクトマネジメントが「遅れている」という点について 否定するつもりはないけれど、 それがソフトウェアが人類の経験したことない複雑さを持つことを軽視できないと思うんだけど。
連載が進むにつれ、そういう点も言及されるのかな。
明日の一便で移動するつもりだったが、
台風が近づいていて、早々に結構欠航になってしまったので、
今日のうちに移動。なんか今週は出張ばかり。