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Matzにっき


2003年06月28日

_ [TV]東京スター銀行

テレビの経済ニュースを見ていたら、東京スター銀行の頭取が紹介されていた。

タッド・バッジ氏は 日本の銀行では初めて外国人の頭取ということで広く取り上げられたらしい。 日産におけるカルロス・ゴーン氏のような期待がされているのだろう。

しかし、その割には週3日は全社員を7時半で帰すとか、

いつか頭取の名刺はなくなりますが、「お父さん」の名刺は一生ですから

などと言う発言が。

仕事一本槍という感じの経営者が多い(ような気がする)中、 自分の生活や家族を大切にする考え方は非常に共感できる。 やっぱり充実した生活が大事だよね、仕事より。

と、思ったら、彼が最初に日本に来たのは「24年前に宣教師として」なのだそうだ。 当時19歳という年齢と二人組の写真を見る限り、うちの教会の宣教師だろうなあ。

そういうことか、共感できるのも当然だろう。

追記

妻曰く、「なに言ってんのよ、家庭に仕事を持ち込んでるくせに」。

いや、その通りです。すいません。

_ [生活]100円ショップ

うちの次女は100円ショップが大変好きなので、 彼女のたっての希望で実家の近くの100円ショップに連れていく。 しかし、なんでもあるものだ。以前の値段を考えると(品質は落ちているものの)想像を絶するものがある。

買ったもの

  • ボタン電池 CR2032 x 2
  • ポケットティッシュ
  • カーシャンプー
  • ぬいぐるみ

買わなかったが、私のPDAにちょうどいいケースも売っていた。100円...。

これがデフレというものだろうか。私には経済のことはよくわからないけれども、 成長がサチってしまった現在、デフレというのはあるべき状態ではないのだろうか。 もちろんものの値段が安くなることで企業には価格引き下げのプレッシャーが常にかかり、 経営の負担になるのは確かだが、常に企業努力が要求されるというのは間違った状況ではないはずだ。 労働者にとってもリストラの危険性が高まるわけだが、 これも自分の価値を高める個人の努力が要求されていると考えることもできる。

私にはこのデフレ社会は継続的な努力が要求される健全な社会と見える。 素人考えだろうか。

問題は効率改善の持続的なプレッシャーなどにより弱者への保護がおろそかになる可能性だ。 これについては社会全体で取り組む必要がある。というか、そういう政策になってもらいたいものだ。


2004年06月28日

_ [家族]名前

常日ごろから語っているように、名前は重要である。

ということで、ことあるごとに名前について考える。

「男の子だったら、ひろゆきはどうだろう。今までは「間違えないでくださいっ」と機嫌を悪くしてたけど、 これからは「それは息子の名前です(ニヤリ)」とか」

「これ以上、ややこしくしないで」と妻。

「それより、小雪ってかわいくない? 音も漢字も」

「小雪って女優さん本人はあんまり好みじゃないんだけど、かわいい名前ってのには同意するね。 でも、ちょっと待てよ、松本...小雪?」

「どうかしたの」

「いや、ウソップランドという20年ほど前の番組にね、同姓同名が。やっぱ小雪はやめよう。 それとも気がつく人にだけ気づいてもらってニヤリとするとか」

「趣味悪すぎ」


2005年06月28日

_ チケット

朝、旅行代理店から電話があって、昨日「もう取れない」はずだったチケットがとれた、とのこと。 なんだよ、JALで予約しちゃってたよ。ところがツアーで取ったのでキャンセル料が15,000円もかかるとのこと。しかたなく、昨日予約した方のチケットとホテルをキャンセルした。

幸い、キャンセル料は発生しなかったし、合計金額は安くなったし、 ホテルのランクは上がったのだが、 残念なことに泊まる予定のニューオータニ札幌にはインターネット接続が提供されないらしい。 残念。

ポートランド行きのチケットの手配も完了。

_ 新潟豪雨

松江近辺は渇水だというのに新潟は豪雨だという。 皮肉なものだ。

飯梨川水系は貯水率が5割を切っていて、 旧松江市近辺は給水制限が始まった。 旧玉湯町、旧宍道町は制限する程ではないようだが、 子供達の小学校は水泳は今日までで中止だそうだ。 次女はまだプールの授業がなかったのでふてくされていた。

バランスよく降ってくれればいいのになあ。

_ 伸矢ちゃんは拉致の可能性 89年貞光で不明、リストに追加

今朝の山陰中央新報で読んだのだが、リンクは徳島新聞から。

この記事にある「伸矢ちゃん」は学生時代の知人の息子さんだ。 当人との面識もある。賢そうないい子だった。 彼がお母さんの実家に帰省中、突然行方不明になってからもう16年にもなる。

ご両親をはじめご家族の気持ちを考えるといたたまれない。 が、北朝鮮による拉致の可能性とは想像を越えていた。 考えてみれば、そういう理由でいなくなったと言われた方が自然に思えるくらい 徹底して手がかりがなかったなあ。

いや、可能性が公表されただけで、なんの新情報も出てきていないんだけど。


2006年06月28日

_ 生まれた時からプログラマ☆興味と感性で世界を驚かす/Tech総研

先日受けたリクルートでの取材がTech総研の記事になっている。

私が「世界を驚かせているか」というとかなり疑問なのだが、 まあ、それはそれ、あおり文句であるということで。

三人のインタビューがあり、私と、あとは奥さんと新井さん。 まあ、それなりに面白い記事かも。

ただなあ、私の言いたいことは本当はちょっと違ったような気がする。 あ、つまり、インタビューではそう語ったのは確かなので、 記者の人の責任ではなく、私が自分の思いを適切な言葉にするのに失敗したという意味なんだけど。

じゃあ、なにが言いたかったのかというと「8割/2割で2割のほうに入れ」ということなのかなあ。でも、「どうやって入るか」には統一的な答えはない(人によって方法は違う)ので、 全然役に立つアドバイスじゃないな。

_ Judy Arrays

とても高速なテーブル。十分高速なので、疎配列やハッシュとして使える。

これがあればRubyのハッシュとか置換できるよなあ。 ただ、中身が難しいのと、実装がLGPLなのでRubyに取り込むのはいろいろ面倒そう。

中身についての簡単な説明(10分版)を読むと、わくわくするのだが、完全には理解できなかった。3時間版はまだ読んでない。


2007年06月28日

_ 「Google デスクトップ」のLinux版が公開 | パソコン | マイコミジャーナル

公開された。オープンソースでないのが気に入らないが、 とりあえず使ってみることに。

しかし、いつまでたってもインデックス作製が終わらない。 このペースだと数週間くらいかかりそう。

_ [言語] steve dekorte - Dynamic vs Static Programming

Ioの作者、Steve Dekorteによる動的プログラミング対静的プログラミング。

動的プログラミングには静的プログラミングにはできない柔軟性があるが、 それには動的プログラミングの流儀(or 文化)に従う必要がある、という話。

面白かったのはここ

For example, I worked at a Smalltalk consulting company for a while where I heard a horror story of a company that made the move from COBOL to Smalltalk but then proceeded to write all their Smalltalk code in COBOL style - one big class with all their old COBOL functions directly translated to Smalltalk methods. I suspect those COBOL programmers would claim Smalltalk wasn't any more productive, just as people that use dynamic languages but not dynamic design patterns would.

私は以前Smalltalkコンサルティング会社で働いていたが、 COBOLからSmalltalkに移行したある会社での「怖い話」を聞いたことがある。 その会社はSmalltalkで開発していたが、まったくCOBOLスタイルのままであった。 つまり、ひとつの巨大なクラスがあり、以前のCOBOLプログラムの機能が 直接Smalltalkのメソッドに置き換えられていた。 おそらく、COBOLプログラマは「Smalltalkに移行しても全然生産性が上がらないよね」と 不平を感じていたに違いないと思う。 動的言語を使っても動的デザインパターンを使わない人々と同じように。

で、Steveからのチャレンジは以下のようなもの(一部)。静的言語でこれが(簡単に)できるか。

  • 動的にメソッド、オブジェクト、継承、名前空間を追加できるインタフェースビルダー。
  • 巨大なスタブ生成を必要としない分散オブジェクトシステム。
  • その言語だけで記述されたデバッガー
  • バージョン問題などに悩まされないオブジェクトデータベース。
  • 現在あるクラスだけでなく将来のオブジェクトに対しても動作するようなコード。

私の見る限り、Javaなどではこのような動的性質はXMLという別の動的言語を アプリケーションに組み込むことで実現しているように思う。 それはつまり「グリーンスパンの第10法則」ってことだよね。

_ [言語] The Future of TurboGears - TurboGears

次期TurboGearsはPylonとマージする、という話。

それがどういう意味を持つのか、私にはよくわからないけど、 フレームワークが進歩していくのは良いことだと思う。 互換性が必要な人たちは泣くかもしれない。

_ [Ruby] Rubricks Project - Rails/Ajax高速化関係メモ

Rubricksの経験から学ぶRails/Ajaxの高速化テクニック。 なんか結局はIE対策が中心。

IEでのJavaScriptプログラミングはなかなか大変そうだ。 2月に大西さんと話した時も嘆いていた。

_ [Ruby] Pivotal Blabs : Rails, Slashdotted: no problem

Railsで記述された特許レビューサイトPeer-to-patentが Slashdottedされたが、別に問題ではなかった、という話。Railsでも頑張っている。

鍵はキャッシュの工夫らしい。かれらはholeless cacheという独自テクニックを使ったそうだ。 シンボリックリンクを使ったキャッシュと言うのは珍しい。


2008年06月28日

_ [Ruby] Ruby on Rails: scaling to 1 billion page views per month | ZDNet.com

While a lot of attention has been focused on Twitter with questions about whether Ruby on Rails scales, LinkedIn has been quietly running a RoR application on Facebook that is beating down around 1 billion page view per month. Bumpersticker, a relatively trivial Facebook application that allows you to create a cartoon that you can put on your Facebook friends’ sites.

TwitterによってRuby on Railsがスケールするかどうかに対して疑問が投げかけられる一方、 LinkedInはひそかに月間10億ページビューのRoRアプリケーションを走らせている。

という話。

月間10億PVということは、平均毎秒400アクセス弱、ピーク時だと数千とかになりそう。

Rubyが遅くても、結局はボトルネックは別のところ(ネットワークかデータベース)にある という仮説を裏づける内容。実際、楽天とかでも問題なく動いてるしな。

追記

これを読んでLinkedInがRoRで書かれていると思った人も居そうなので補足。

LinkedInそのものはJavaで書かれているそうで、RoRではない。 LinkedInが提供しているアプリのひとつがRoR製で、 しかも10億PVが達成しているというだけ。

楽天のRoRで書かれたサービスだと月間数千万PVレベルのものがあったように思う。

_ もうだめだ

28日に起きたことではないが、日付を忘れてしまったので、この辺に記録。

会社の近くのローソンに、昼メシを買いに行った。

おにぎりをいくつか選んで、レジに行くと、突然 「最近、忙しいですか」とレジのおねいさん*1に声をかけられた。 まったく予想していなかった事態に当惑しつつ、「はあ、ぼちぼちです」などと 差し障りのなさそうな返答をする。なんで、忙しいって思ったんだろう。

すると、続けて「テレビとかに出ておられましたよね」ときた。

まずいよ、この人、私のこと認識してるよ。

なにがまずかったかな。今日はRuby Tシャツとか着てないし。

今後、このローソンでお昼を買ったら、 「この人、世界的プログラマなのに、お昼はおにぎり2個なのね」とか、 立ち読みしてたら、 「この人、地域資源とかいわれてるのに、少年ジャンプとか読んでるのね」 とか思われちゃうんだ。きっとそうだ。そうに違いない。

ああ、心地よい「誰でもない自分」は失われてしまったのだ。 なんてこった。

そんなことを考えながら、お金を払い、「ええ、まあ」とか曖昧な笑顔を浮かべて、 そうそうにローソンを立ち去った。

会社まで「もうだめだ」と繰り返しつぶやきながら。

*1  声をかけられた時点でキョドってしまって、目を合わせられなかったので、本当は「おねいさん」かどうかはわからない。女性なのは確か


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