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Matzにっき


2004年03月07日

_ [家族]全員集合

教会終了後、実家に。はじめて一族全員が集合する。

両親、私の家族、妹たちの家族、弟家族、それと先日帰還したばかりの下の弟、 総勢19名。いつのまにこんなに増えたんだ。

なごやかに話をしたり、食事をしたり。良い時間を過ごした。 次に全員が集まるのはいつになるだろうか。 両親が帰還する1年半後か。


2005年03月07日

_ [言語] Span

SmalltalkのセマンティクスにJava的構文を与えたような言語。 お約束のHello Worldはこんな感じ。

class Hello {
  static public main: args {
    Console << "Hello World!\n";
  }
}

こういう言語では(Rubyのように)ifやwhileなどは文法で持つことが多いし、 またメソッド呼び出しの形式も「obj.method」にするような気がするが、 SpanはこれらはSmalltalk形式のまま。

2 + 2;
5 + 2 - 7;

Array new: 10;
Rect x: 5 y: 5 width: 10 height: 10;

(5 >= 4) ifTrue: {
    this doWhenTrue;
} 
ifFalse: {
  this doWhenFalse;
};  

1 to: 5 do: #(cnt) { 
  cnt doSomething; 
};

要するに「Smalltalkにより普通の構文を」という出発点は同じでも、 アプローチにおいてRubyとは違う道をとっている(Rubyが捨てた点を残し、Rubyが残した点を捨てている)。 これが成功するのかどうかは私にはわからないが

あと、興味深いのはSpanは実行エンジンにParrotを採用している点だ。 Parrotかんばれ(Pugsに負けるな)。

_ [言語] Pugs

PugsとはHaskellで書かれているPerl6コンパイラである。 一瞬「本気か?」と思ったが、大いに本気らしい。

作者のインタビュー

_ 韓国で有名な日本人

IRCで韓国人が話していた。「韓国で有名な日本人といえばYuminとAyumiだ」。

松任谷由実と浜崎あゆみのことかと思えば、全然違う人らしい。

日韓の文化の溝はまだ深い。


2006年03月07日

_ 第7回アジアOSSフォーラム(1日目)

深夜1時半にチャンギ空港に到着。 こんな深夜にも動いているんだねえ。 さすがに店はほとんど開いてないけど。

チャンギは無料のインターネットアクセスがあると聞いていたので、 期待していたのだが、無線LANは提供していないみたい。 クレジットカードで1時間いくらで購入することはできるけど。 2001年の情報では無料無線LANと書いてある(空港のページにも記載が残っている)ので、 その後変更になったのだろう。

ただ、端末はあちこちで提供されているので、 gmailを使ってメールチェックはできる。

あと、イーサーネットの有線のアクセスは提供されているのだが、 今回はイーサーネットケーブルは持ってきてなかった。 チャンギで自分のPCをネット接続させたい場合にはイーサーネットケーブルの持参を忘れずに。

この国のコンセントはBFのようだが、数ヶ所にあるパソコンデスク (イーサーネットコネクタ、電話コネクタ、電源、赤外線ポートが提供されている)は、 ユニバーサルコンセントになっているので、AとかCとかでも電源が取れる。

しかたがないので、基本的にパソコンデスクで原稿書き。 ときどきインターネット端末へ移動してメールチェック。朝まで。

6時半の飛行機でクアラルンプールへ。 飛行機が離陸した直後、意識を失う。目が覚めたのは到着直後。 もっとも飛行時間は1時間ちょっとしかなかったんだけどね。

空港で迎えのタクシーにピックアップしてもらう。 市内までは70Kmくらいあるらしい。

ホテルにチェックインしたのは9時半。 あわててシャワーを浴びて会場へ(開場は9時半だった)。 今年のテーマは「オープンソースエコシステム」なのだそうだ。

11時50分ごろから私の発表。予定よりも30分ほど遅れている。 私は「Establishing the Communiy」というテーマで発表した。 スライドはこちら。 発表原稿のほうは恥ずかしいから公開しない。

その後はメールチェックしたり、セッションを聞いたり、 いろんな人とOSSコミュニティ運営について話したり。

気がついたこと。

マレーシアは女性参加比率が高い。 運営組織MIMOS(日本の産総研みたいなもの?)のボスも、 担当大臣(経済産業大臣相当?)も女性だったし、 会場の女性比も他のオープンソース関連のイベントに比べて明らかに多い。 イスラム系の女性はスカーフをかぶっていて目立つというのを置いても 明らかに多い。g新部さんによれば、今回CodeFestにも初の女性参加者が(三人も)いたとのこと。 なんか理由があるのかな。

食べ物はおおむねおいしい。南方系なんだけど、 日本の食べ物からかけ離れてはいない。 ただ、味のベクトルが甘い方と辛い方にだいぶズレてる気はするけど。 焼き鳥と思ったら牛だったり、麻婆豆腐が甘かったり、 ちょっと予想しない味つけが楽しい。

赤道近くだというのに、会場は暑くない。 季節的には雨季が終わったばかりでまだ雨が多い時期らしい。 室内にいたからわからなかったけど、夕方にはかなり降っていたようだ。

スピーカーと関係者はディナーに招待された。 バスに乗って近隣のレストランへ。 またブュッフェか、と思わなくもないが、おいしかった。 また、マレーシア芸能(なのか、インドネシア風味だった)も興味深い。

ホテルに戻ると、リュックサックを忘れていることに気づく。 パスポートも入っているのに。また落ち込む。 MIMOSのスタッフをつかまえて、レストランに連絡してもらう。 しばらく気をもむが、結局カバンはレストランの従業員によってすぐに発見され、 保護されたとのこと。ただし、MIMOSスタッフのものだと思われたようで、 ボス(女性)が自宅に持って帰ってしまったとのこと。 「明日渡すからね」と言われてとりあえずひと安心。

しかし、なんと忘れっぽいことか。とはいえ、これだけトラブルを起こしておいて 致命的な事態にならないのは、とんでもない強運かもしれない。

PCもないし、今晩は疲れたので寝ることにする。


2007年03月07日

_ [Ruby] JRuby 0.9.8 Released - JRuby - Confluence

JavaOneでの1.0リリースに向けて着実に進化中、らしい。

_ [Ruby] ITmedia エンタープライズ:Sun、NetBeansでRubyのサポートを発表

Sunのプレゼンでも見たけど、 NetBeansのRubyサポートはけっこう頑張っている。 ちゃんとシンタックスカラーリングしてくれるし、 メソッドの範囲内で変数名の即時置換とか、 リファクタリング支援も始まっているようだ。

根っからのEmacsユーザーを自称するTim Brayも 「JavaやRubyのコードを書く時にはNetBeansに移行した」と証言していた。 もしかしたら、いつか私もEmacsを離れてIDEを使うようになるかもしれない。

っていうか、Emacs程度によくて、ちゃんとマルチスレッドに対応したエディタが欲しいぞ。 問題は私の「Emacs程度によい」という基準が高すぎることだが。

_ [言語] Eclipse,Ajaxアプリ/動的言語向けに3つの新プロジェクトを発足

NetBeansがRubyサポートなら、 Eclipseは...という話題。

EclipseもAjaxや動的言語を積極的にサポートするという宣言。 最初の動的言語として選ばれたのはTcl。ちょっと驚きである。 SunからのNetBeansが(Sunから見れば外様の)Rubyをサポートし、 IBMからのEclipseが(Sun育ちの)Tclをサポートするってのはちょっと面白い構図。

_ [OSS] 与えるべきか否か:FOSSにおける報酬のトレードオフ

この記事にもある通り、報酬って難しいよね。

以前聞いた落書き防止法の話を思い出した。 内容はうろ覚えだけど、こんな感じ。

ある老人が自宅の塀に落書きする近所の子供たちに弱っていた。 しかし、老人はある方法を思いついた。

老人は近所の子供たちに手招きをし、 「塀に落書きをしてくれたら2ドルあげよう」と言った。 子供たちは大喜びで一日中落書きし、一人2ドルずつもらって帰った。

次の日、老人は子供たちを集め、 「塀に落書きしてくれたらお金をあげよう。でも、今日は1ドルしかあげられない」 と申し分けなさそうに言った。 子供たちはそれでも1日中落書きし、一人1ドルずつもらって帰った。

また次の日、老人は子供たちに言った。 「今日は50セントしかあげられないんだ」。 子供たちは口々に不満を並べ、 「なんだ、それっぽっちじゃ落書きしてあげないよ」と去っていってしまった。

それ以降、老人の家の塀に落書きするものはいなくなった。

ま、これは「落書き」という「悪いことを止める」という話だけど、 「落書き」をオープンソースにたとえると 報酬を出すことでかえって「良いもの」が 継続できなくなっちゃうこともあるよねってことも言えるよね。

それは困る。どこで見分けるのかな。

_ [Ruby] Ruby講習会

朝の「特急おき」で新山口から松江まで。 12時半過ぎに松江について1時からRuby on Rails講習会の講師。

なんて忙しい。まるでビジネスマンみたいだ。


2008年03月07日

_ 取材

取材ウィーク。(苦笑

鳥取県の広報誌(なのか?)と、 地方TV局の取材を受ける。なんなんだ今週は。

特に新しい発言はしていない、と思う。

_ オープンソースサロン

オープンソースサロンの今回のテーマは 「アメリカ視察報告」と「Rubyをエンタープライズ領域に適用」の二本立て。

参加者それぞれにコメントを求められたのだけど、 なにを言ったらよいのかわからなくなって支離滅裂なことを発言してしまった。 たぶん、個人的にアレを視察だと認識していないからに違いない。

「エンタープライズ領域」の方は前回聞いたのと似たような話。 「業務」、「ウォーターフォール」、「COBOL技術者」、「コーディング規約」など 普段のRuby使いからは聞かれないような話が山盛り。

古いやり方を維持するのが良いのか悪いのかはともかく、 知見が高まるのは良いことと思う。

_ [Ruby] Teflon Ted: Rails Doesn't Scale

Ruby on Railsはスケールしないといわれているけれど、という話。

実際にはスケーラビリティを達成した事例のリンク集。 もちろん15分で作ったアプリそのままではスケールしないので、 そういう意味では難易度が高いというのは事実なんだけど、 適切な処置をすることでかなり高いスケーラビリティを実現できる。

なんにも考えないでもいい、というのはある種理想だけど、 なかなかそうはいかない。

マーケティング的には、少々ノウハウが必要な位の方が ビジネスになっていい、という判断もあるが、 これは少々さもしいかも。


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