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Matzにっき


2005年07月09日 [長年日記]

_ [OSS] オープンソースカンファレンス2005 in Hokkaido

本番。ホテルから歩いて北大、クラーク会館まで移動。

いろんな人が来ているので御挨拶。 高橋さんもいらしてた。 日本Rubyの会はYARVのポスターとRailsによるブログツールTypoを展示していた。 TypoはAjax風味の表示が結構すてき。

日本Rubyの会の展示の隣はZopeが展示していた。 展示していた人は、私の顔を知らなかったようなので、 以下のような会話が交わされた。

展: プログラミングはなさいますか
私: ええ、すこしは。
展: 私はプログラムしないんですけどZopeは便利ですよ
私: Pythonの文法は知ってるんですけど
展: 使わないんですか
私: あんまりPython使わないですねえ。
展: 宗教上の理由とか(笑い)
私: いや、そーじゃなくて仕事上というか、立場上というか(苦笑)
展: そうなんですか(真顔)
...以後、ZODBに関する面白い話が続く...

そうこうしているうちにお昼になって、 スタッフの人が呼びにくる。「まつもとさん、こっちこっち」。 言われるままについていくと、 北大の敷地内芝生にビニールシートを敷いて、 七輪並べてジンギスカンを始めている。

なんとのどかな。

私の母校も敷地の広さでは負けないと思うのだが、 そんなのどかさはなかった。 私の発表は午後一番なので時間の余裕はなかったが、 しっかり堪能した。 しかし、私の一族のマスコット動物は羊なのだが、 それをよろこんでばくばく食べるというのはいかがなものか。 母親あたりにひどく怒られそうな気がする。

で、午後は発表。スライドはここ

ま、わりとふつーの発表。なんかどこかで聞いたような話が多いけど、 まあ、こういうイベントは北海道では珍しいだろうから、 基本的なことから。基本的すぎて聴衆がどう感じたのか不安だったが、 数人に感想を聞いた範囲内ではおおむね好評であった。

発表終了後、松江に置いてきた妻子とSkypeで話をしてから、 北大博物館へ。やっぱりここまで来たらマンモスを見ておかないと。 次女が「どうしても見てきてほしい」ということだったし。

展示はこじんまりとしていたが、貴重な資料がたくさんあって、面白かった。 閉館直前であったがしっかり写真も撮ってきたし。

_ [OSS] 懇親会

その後、みんなで移動して懇親会。そろそろ疲れが出てきていたが、

  • 大学の同級生に会った。札幌で自営しているそうだ。 すごいなあ。経営の才覚のない私は憧れちゃう。
  • 未踏の特異性と価値について、風穴さん、比屋根さんを交えて。
  • Ruby 2.0はどうなるの? といった話題

などなどについて。

懇親会終了後、みんなが「じゃあ次だ」と移動を開始する。 9時過ぎに会場を出て、予約が10時だということで、 「じゃあ、それまでラーメン食べにいこう」とかいう人までいる。 この人たちの胃袋はどうなってますカ?

と思ったが、実際に二次会の会場(石鍋屋)に着いたら、 ジンギスカンやらモツ鍋やらばくばく食べてしまう。おいしい。 私の胃袋もどうにかなってますヨ。

食べながら、Rubyは金の匂いがしないとかなんとかいう話もする。 そのうち、うち(NaCl)が「Rubyで10倍の生産性」とかなんとかプレスを打って、 世間の注目を集めたらちょっとは状況が変わるかな。変わらないような気も。

酔えば酔うほど高くなる高林さんの声。大企業の中の人は大変だ。

三次会に行くという人もいたが、 それは振り切って、東横インへ。ロビーの無線LANを使わせてもらいつつ、 morqのハックを。それから歩いて自分のホテルに帰り着いたのは夜中の2時をはるかに回っていた。

_ [Hack]今日のハック

後輩が「月曜日にはどうしても必要なので」とせがむので、 morqをハック。今まで基本的にEstraierをベースに検索していたのだが、 当初の構想の通りRast上で動くように変更した。 で、前田くんのximapdを参考にさせてもらいつつ、ごそごそやっていたら、 1時間ほどで完成。東横インからホテルへ移動。

しかし、そこでマシンがハング。 そういう時に限って /tmp で作業していたりして、 1時間の成果を失った。出張中だし、夜遅いしでちょっと気が焦っていたのだろう。 普段なら致命的なファイルを /tmp に置いたりしないのに(本当か?)。

いずれにせよなくなってしまったものは帰ってこないので、 再挑戦。一度実装しているので今度は20分ほどでとりあえず動く。 何回か試してバグをとりのぞくとうまく動いているようだ。 完成したのは4時前だった。

_ なぜテスト駆動が身につかないか

OSC2005-DOの会場で高橋さんたちとした話。

なぜ私はいつまでたってもテスト駆動アプローチを習慣にできないのか、 改めて考えてみるとやはりドライブ感が原因のようだ。

「なにかを作りたい」と思った時、 テストファーストなら「そのなにかをテストによって表現する」わけだが、 私はその作りたいものがコードとして脳裏に浮かぶのだ。 そこでテストを書いていると、その浮かんできたコードがどこかへ逃げてしまうような気がする。 脳裏に浮かんだコードが消えてしまわないうちに、 素早くタイプして書き留めてしまわないといけない。

いわば「イタコ系プログラマ」。

いや、言い訳なんだけどね。とりあえずコードを打ち込んでからでいいから、 ちゃんとテスト書こう。

_ 発熱

末娘が熱が出たとのこと。突発性発疹の疑いとか。出張中に限ってこんなことが。


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