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Matzにっき


2003年06月18日 [長年日記]

_ 兄弟

  • 剛くんと光一くんは兄弟ではありません
  • てつやさんとひろふみさんは兄弟ではありません
  • けんたろうおにいさんとあゆみおねえさんは兄弟ではありません
  • けんたろうさんとゆうぞうさんは兄弟です

秘密じゃないよね。

_ [Ruby]Constructor Method

Dave ThomasによるConstructor Methodの紹介ですが、 「コンストラクタをprivateにするのはどうか」という疑問の声を読みました (もう消えてしまったのでリンクできませんが)。

もちろんDaveがなにを考えていたのか分かりませんが、 私は「コンストラクタをprivateにする」価値があるケースはあると思います。

つまり、オブジェクトの複数の生成法があり、それぞれが同じように重要だった場合、 コンストラクタをprivateにしなければ、 「コンストラクタが採用している生成法がもっとも重要である」という 「正しくない暗黙のメッセージ」を与えてしまう可能性があります。 逆に言えばコンストラクタをprivateにすることにより、 「どれも同じように重要だ」という暗黙のメッセージを送ることになります。

良い設計というのは、こういう暗黙のメッセージが(意図してかどうかはともかく)、 うまく状況に即しているものではないのでしょうか。

_ [OSS]Bruce Perensを囲む会

経済産業省からお誘いのメールをいただき、さいわいにも東京にいたので、 経済産業省別館にて開かれた「Bruce Perensを囲む会」に参加しました。 お誘いのメールには「ランチミーティング」とありましたが、「ランチは出ません」とも書いてありました。 ランチタイムに開く会という意味だったようです。

で、行ってきました。言語は終始英語。 鵜飼さん、佐渡さん、八田さんなどをはじめとして(この業界で)有名な人もたくさんいました。

Perensの発表はなかなか説得力のあるものでした。たぶん、明日の内容と重複していると思うので、 どこかで資料が公表されるのではないでしょうか。

  • ソフトウェアを(パッケージとして)売っている人はごく少数
  • ほとんどの人はサービスを売っている
  • 差別化につながらないソフトウェアは公開しても損はない。
  • nerdsだけでなくsuitsにも語る人が必要
  • あと、忘れちゃった

それから経済省のムラカミさんという方が話されました。

  • 法的な問題と人材的な問題がある
  • GPLの(日本法における)曖昧さがある
  • それからソフトウェア特許
  • 人材的な問題ではコミュニティの小ささ
  • 大学をはじめとした訓練が必要

個人的には異論ありまくりなんですが、その点については後で本人と語りました(後述)。

集会後、Perensと個人的に話しました。

  • Ruby知ってるよ。3冊くらい本も読んだし
  • もっといろんなライブラリが揃うといいよね
  • Brad Cox(Objective-C作者)からRubyのこと聞いたんだ

とかいうような話の後、Open Source Evangelistの備えるべき条件てどんなもんだろうか、 という質問をしました。

  • ソフトウェア開発経験とビジネス経験があること
  • nerdsの気持ちが分かり、nerdsから尊敬されること
  • suitsの分かる言葉で話せ、suitsからも尊敬されること
  • 「おかしい」と思ったことを文章にして発言するルートがあること

なるほど。Perens自身はElectricFenceやBusyBoxの開発経験があり、 また長らく映画業界(Pixer)にいたのでビジネスのことも分かるということなのでしょう。 こんな人、日本にいるかな。

最後にムラカミさんと話しました。私からは

  • 日本のコミュニティの小ささは問題になってない
  • 足りないのは開発者ではなく「中間層」
  • 欲しいのはサクセスストーリーとエバンジェリスト

というような話をしました。ある程度納得していただいたようで、 方針の転換を検討するという建設的な意見をいただきました。

いやあ、よかった。


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